「大怪獣デブラス」(データイースト制作)のラジオドラマ化なんて無茶ですかね?

【特集:ラジオドラマ化推薦作品20】データイースト制作「大怪獣デブラス」

ラジオドラマを紹介するブログでありながら、ラジオドラマ化してほしい作品(=現時点ではラジオドラマになっていない作品)を紹介するという、わかりづらいこの企画。
20回目の今回、紹介する作品は、データイーストより1990年12月に発売されたファミリーコンピューター(ファミコン)用の戦術級ウォーシミュレーションゲーム「大怪獣デブラス」です。


すでに紹介済み

実は2020年末から2021年始にかけて当ブログで実施したアンケート調査の「青春アドベンチャーにして欲しい作品」の項目で、私自ら1票を投じた作品なのですが、詳しい紹介をしていなかったので、後追いながら今回紹介する次第です。
さて、あくまで個人的にですが、ラジオドラマの可能性を広げられる企画として、コンピューターゲームで採用されているマルチエンディング方式はどうかと思っておりまして、このブログでも何回か書いたところです(この記事とかこの記事とか)。
しかし今回、この「大怪獣デブラス」というゲームをご紹介した趣旨は全く違いまして、このゲームのストーリーが純粋に印象的だったからです。

SLGにストーリー?

コンピューター用のウォーシミュレーション、しかも戦術級(1ユニット=一個人・一兵器~一個中隊程度で、ミクロの戦闘をシミュレートするゲーム)なのにストーリー?と思われる方もいらっしゃると思います。
確かにこの分野における日本の代表作「大戦略」にはストーリーもへったくれもありません。
ただ、この時期のファミコン市場は、「ファイアーエムブレム 暗黒竜と光の剣」(1990年4月)の発売を契機として、ロールプレイングゲームの要素を持ちストーリー性が高いシミュレーションゲームが増えていく時期でした。
そんな時代に咲いた徒花がこの「大怪獣デブラス」です。

敵を倒せないシミュレーションゲームってアリ?

ストーリーは一見単純。
東京湾に落下した隕石から古代鳥獣「ヤセギュルウス」の卵と大怪獣デブラスが出現します。
デブラスから卵を守るため地球防衛隊がデブラスに立ち向かうもののあまりに強大なデブラスを前になすすべを知らず、徐々に追い詰められていく、という話です。
プレイヤーは地球防衛隊の指揮官となり、歩兵や戦車、自走砲や航空機、果てはミサイル巡洋艦まで駆使してデブラスを迎撃しますが、撃退することはできません。

あっと驚く展開

そう、このゲーム、ウォーシミュレーションでありながら、敵を倒せないのです。
どんなに強力な「駒」であってもできるのは時間稼ぎだけ。
味方をいわば盾にして時間を稼いでいる間にヤセギュルウスの卵を逃がすことができれば一応、クリア、という著しく爽快感を欠く展開が続きます。
「これゲームとしてどうなのよ?」と思いつつ、惰性で撤退戦を続けていくと、アッと驚く新兵器が登場し、そして思いがけない(そして実にバカバカしい)新展開が始まるのです。
この辺は完全にネタバレなのでこれ以上は書けないのですが、青春アドベンチャーにはこれを笑って許せるリスナー層がきっといると信じての推薦です。

ヘンなゲームならまかせとけ!

ちなみにこのゲームを開発したデータイーストという会社(通称「デコ」)は、この時期、個性的なゲームを多数制作したことで知られています。
開き直って自ら「ヘンなゲームならまかせとけ!」などという自虐的なコピーの自社広告を打ったことでも知られていますが、1991年の「ダークロード」などもっと評価されて良い作品だったと思います。

求む!挑戦者

なお、青春アドベンチャーでゲーム関連の作品としては「ダミーヘッド・ドラマスペシャル」と銘打って30分×5回の枠で放送された「ダーク・ウィザード~蘇りし闇の魔道士~」があるくらいです。
しかも、これも小説が挟まれていますので、ゲーム原作と言って良いかは微妙なところです。
色々ハードルはあろうかと思いますが、是非、色々な手段に挑戦して頂きたいものです。


「青春アドベンチャーにしたら」面白いのではないか!と思う記事の一覧はこちらです。
私やリスナーの皆さんが自信を持ってお勧めする作品たち。
小説や漫画など色々な作品があります。
是非ご覧ください。




Hirokazu

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