Categories: 格付:B

カラー・ライフ 作:吉田小夏ほか(青春アドベンチャー)

  • 作品 : カラー・ライフ
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : B-
  • 分類 : 多ジャンル(競作)
  • 初出 : 2012年5月14日~5月25日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
    作  : (下表参照)
  • 演出 : 江澤俊彦
  • 主演 : 大路恵美、内田健介

2003年から続く青春アドベンチャーの短編競作作品のシリーズである「ライフシリーズ」の1作です。
全10話がそれぞれ違う脚本家による一話完結のオリジナル短編作品で構成されています。

ライフシリーズ

ちなみに今までのライフシリーズの作品は、「インテリア・ライフ」(2003年)、「アクア・ライフ」(2005年)、「ボディ・ライフ」(2007年)及び「ナンバー・ライフ」(2007年)の4作です(追記参照)。
なお、主演の内田健介さんのブログによれば、本作品「カラー・ライフ」は5作品続いたライフシリーズの最終作品だったようです。

(外部リンク)http://ameblo.jp/uchiken5/entry-11229851234.html

個人的に、私、このライフシリーズがあまり好みではないのですが、終わってしまうとやはり寂しいと思っていたところ、2015年に「フラワー・ライフ」で復活しました。

その他のオムニバスもの

ちなみに青春アドベンチャーでは「不思議屋料理店」などの「不思議屋シリーズ」という、脚本家が競作する作品シリーズがもう一つあり、こちらは1999年から2007年にかけて8作品が制作されています。
また、2019年からは「ストーリーボックス」という言葉がタイトルに入った新しいオムニバス作品が3作品制作されています。

テーマは色

本作は「カラー・ライフ」の名のとおり、全ての話に一色ずつ異なった「色」がモチーフとして設定されていますが、各話の間に内容の関連性は全くありません。
また、一応、色がモチーフとなっていますが、その色が作品のテーマに直結している作品は第6話の「灰の音」くらいで、基本的には作品に登場するアイテムの色として使われているくらいで、各脚本の担当の方々はかなり自由に作品をつくっています。
類似の企画として、青春アドベンチャーでは2001年に名古屋局が制作した「5DROPS」があります。
また、2012年に大阪のラジオ局6局が共同制作した「6COLORS」があり、これも色をテーマとした競作によるラジオドラマ番組(特番)でした。
こちらは小栗旬・蒼井優という当代きっての人気若手俳優コンビが主演していましたが、本記事の対象からは外れるので説明は省略させて頂きます。

各話の概要

さて、本「カラー・ライフ」の各話の担当作家さんと、作品ジャンル及び内容についての一言は下表のとおりです。

◇第1話 「一膳の赤」
分類:日常
作 :吉田小夏

結婚を迫られて困る男の話


◇第2話 「青空の彼方へ」
分類:幻想(日本)
作 :鎌田順也


椎茸を食って空に浮いた男の話


◇第3話 「白い霧の家」
分類:日常
作 :フジノサツコ


養子をもらった夫婦の苦悩


◇第4話 「桃色迷路」
分類:SF(日本)
作 :工藤千夏


AV嬢のタイムトラベルもの、ではなく…


◇第5話 「茶色いカバン」
分類:幻想(日本)
作 :蜂飼耳


引越しを控えた女性が出会った男の正体


◇第6話 「灰の音(はいのね)」
分類:日常
作 :中津留章仁


世界が滅亡するらしい世界での痴話喧嘩


◇第7話 「黄身の声」
分類:幻想(日本)
作 :大河内聡


余談だが子供は稼げるようになってから


◇第8話 「紫のハイヒール」
分類:幻想(日本)
作 :日和聡子


小説家と登場人物との対話


◇第9話 「黒髪の固まり」
分類:職業
作 :大橋秀和


美容院を経営する女性とその夫の会話


◇第10話 「緑の使者」
分類:幻想(日本)
作 :和合亮一


男と球体の植物との震災を巡る会話

以前書いたとおり私は青春アドベンチャーでは1話完結の短編集よりも、10話で一つの作品となる長編の方を希望しており、このブログでは積極的に短編集の作品を取り上げるつもりはありません。
そのため、この作品も2012年初出作品の中で最後の紹介となりました。

個人的に好きな回

作品内容は当然ながら1話ごとにそれぞれですが、基本的に主役のふたりの会話を楽しむ「日常系」又は少しだけ不思議な要素が加わった「幻想系」の作品が主です。
各話の善し悪しは聞く人の趣味趣向によって様々だと思いますが、個人的には、大人の社会人の話である第9話「黒髪の固まり」と、震災後の捜索というとても重いテーマですが第10話「緑の使者」が印象的でした。

お馴染みの内田健作さん

作品内容がバラバラであるのに対し、主演の男女ふたりは基本的にどの作品も同じ役者さんが演じていらっしゃいます。
女性が大路恵美さん、男性が内田健介さん。
内田さんといえば青春アドベンチャー有数の長編シリーズ・「おいしいコーヒーのいれ方」の主人公「勝利」役の役者さんとして青春アドベンチャーファンの間ではお馴染みの方です。

おふたりによる最後のライフシリーズ

一方の大路さんは、福山雅治さん主演のTVドラマ「ひとつ屋根の下」で演じた次女・小梅の役が有名です。
この作品は基本的に「日常系」の話ばかりなので、同じ俳優とは思えないというほど極端な演じ分けをしているわけではないのでが、おふたりとも各話ごとに性格が異なるキャラクターを巧みに演じていらっしゃいます。
なお、2015年に復活した「フラワー・ライフ」は主演が佐藤みゆきさん、亀田佳明さんのコンビに変わっていますので、本作品が大路さん・内山さんによるライフシリーズの最終作になります。

【ライフシリーズ作品一覧】
NHK大阪局主導のオリジナル脚本の短編作品集シリーズ、ライフシリーズの作品一覧はこちらです。
是非、他の作品の記事もご覧ください。


(※)2015/5/22
その後の2015/5/21に最新作「フラワー・ライフ」の放送が発表されました。

Hirokazu

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