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青い羽ねむる 作:吉野万理子(FMシアター)

  • 作品 : 青い羽ねむる
  • 番組 : FMシアター
  • 格付 : A
  • 分類 : 幻想(日本/ライト)
  • 初出 : 2017年9月16日
  • 回数 : 全1回(50分)
  • 作  : 吉野万理子
  • 音楽 : 澁江夏奈
  • 演出 : 小宮山佳典
  • 主演 : 上村祐翔

母が死んだ。交通事故だった。
残されたのは田舎の家と一羽のセキセイインコ。
毎日実験で忙しいポスドクの身としては通勤時間が1時間半もかかる田舎に住むわけにはいかないが、インコを引き取ることはできる。
このインコ、よくしゃべるので、気がまぎれる気もするし。
それにしてもタイミングよくしゃべるインコだな、まるで人間の言葉がわかるみたいだ。
まるで…
そんなことないよな…


本ラジオドラマ「青い羽ねむる」はNHK-FMのラジオドラマ番組・FMシアターで放送された作品で、脚本家は「思い出あずかります」の吉野万理子さんです。

鳥がしゃべるけど…

内容は、母親の死でひとりぼっちになった主人公(でもよく考えるとおじさんがいるよね?)が、母の形見の不思議なセキセイインコと暮らすうちに、後悔と向き合い、新しい人生を歩み始める決心をする、的な話です。
不思議なセキセイインコと書きましたが、人間の言葉を理解できるという意味では非現実的な話ではあり、一応、このブログでは幻想(ファンタジー)に分類しています。
ただ、鳥(名前はパピプー)は、それ以外に特別な能力を持っているわけではなく、全体的には家族愛、生老病死、人生の再生などをテーマとした日常ものに近い作品です。

生老病死

さらにいうなら生死が関わるとはいっても、作中時点で深刻な事態が発生するわけでもありませんし、結末において主人公の人生が大きく変わるわけでもありません。
幼くして亡くなった主人公の弟の話は気の毒ではありますが、基本的にはどこかにありそうな話であり、作品のメインストーリー自体は極端に言えば毒にも薬にもならない話です。
個人的にはこの類の「ちょっとファンタジックで人生を考えちゃうような作品」があまり好きではなく、このブログでもわりとテンション低めで評価することが多いと思います。
また、「子どもの病気」+「動物」という、かなりあざとさを感じる設定もちょっと反則気味だと感じたのですが…

上村祐翔さんの声に癒されたい

なんででしょう、この作品は割と気持ちよく聴くことができました。
やはり上村さんの声がいいのかな。
「クラバート」や「僕たちの宇宙船」、「I want to be.ケンジノウタ」などでもそうでしたが、彼の声は優しいですよね。
たまには優しい声で癒されるのも良いと思いました。コロナ疲れなのかな。

意図的な放送順?

ところで、この作品は2020年の5月に放送された特番「FMシアター三昧」においてラジオ第一(R1=AM)で再放送された作品です。
ここで再放送されたのは恐らく本放送時に人気があったからなのだと思いますが、気になるのがFMシアター三昧における放送順。
実は一番最後だったんですね。
本作品は「今日の日はさようなら」がテーマ曲的に使われている(上村さんがよく口ずさむ)作品なのですが、「今日の日はさようなら またあう日まで」という歌詞が最後の作品で流れるのは、AMに出張してきたFMシアタースタッフからのメッセージなのかなと思ってしまいました。考えすぎでしょうけど。

中村メイコ+山本晋也

さて、本作品は上村さん以外の出演者が意外と豪華。
まず青いセキセイインコの「パピポ」を演じたのは女優の中村メイコさん。
粗筋を読んでてっきり主人公・柏原蓮の母親役かと思ったらインコ役でした。
また、蓮の研究室の教授である沼田先生を演じたのが映画監督の山本晋也さん。
正直、沼田先生はそれほど重要な役ではないので意外なキャスティングでした。
まさかちょっとエッチな(セクハラ行為をする)役だからではないですよね?




Hirokazu

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