Categories: 格付:C

さっきまで優しかった人 原作:片岡義男(カフェテラスのふたり)

  • 作品 : さっきまで優しかった人
  • 番組 : カフェテラスのふたり
  • 格付 : C+
  • 分類 : 恋愛
  • 初出 : 1986年12月15日~12月19日
  • 回数 : 全5回(各回10分)
  • 原作 : 片岡義男
  • 脚色 : (不明)
  • 演出 : (不明)
  • 主演 : 山田康雄、山村美智子

小説家でエッセイストの片岡義男さん原作のショートストーリー5編を集めたラジオドラマです。
片岡さんはハワイ出身で、サーフィンやバイクといったアメリカ文化の伝道師的な印象の方でした。
印象といえば、本作品が放送された1986年12月は、まさにバブル景気が始まったとされる時期であり、片岡さんも喜多嶋隆さんなどと並んでバブル時代の象徴のようなイメージがありました。
しかし、改めて考えると片岡さんの代表作「スローなブギにしてくれ」が発表されたのが1976年であり、バブル期に限ってというより、広く昭和末期全般の若者文化の象徴なのかも知れません。
なお、片岡義男さんについては「サウンド夢工房」期に「吹いていく風のバラッド」もラジオドラマ化されています。


海と風

さて、勝手なイメージですが、アメリカ文化といえば切っても切り離せないのは、海と風。
そういえば、一方の喜多嶋隆さん原作のラジオドラマ作品、「CF愚連隊」や「天使のリール」もそんな要素が満載の作品でした。
本作品「さっきまで優しかった人」も第1話から海沿いをドライブする話であり、まさにコテコテの展開ですが、しゃれた会話と、情景・雑貨・メカなどのディテールの表現で巧みさで気持ちよく聞くことができる作品でした。

作品にあった出演者

そしてこの作品に良く合っているのが、山田康雄さんと山村美智子さんのお二人の出演者。
山田さんといえば今では初代ルパン三世声優として有名ですが、当時は「お笑いスター誕生!!」の司会などもしていたマルチタレントでした。
ご自身が洒脱な方であり、語り口も軽妙で、本作品でも山田節が絶好調です。
また、一方の山村美智子さん(現芸名:山村美智さん)は、元フジテレビのアナウンサーで、ビートたけしや明石家さんまが出演していた伝説のお笑い番組「オレたちひょうきん族」を担当されていた方でもありました。
大変失礼な言い方をすれば、おふたりともNHKらしくないチャラいキャスティングですが、本作品にあったキャスティングであることも事実です。
こういうこともできるのがラジオドラマの強みなのでしょう。

ストーリー?

なお、ストーリーは男女ふたりの会話をベースに進みます。
総じて淡白な内容で、ヤマがあるような、ないような…という感じです。
まあ、バブル期の大人の恋愛?を素直に楽しむのが吉、といったところでしょうか。
ちなみに、各回のタイトルは以下のとおり。
「カフェテラスのふたり」は10分番組でしたので、本作品の全部をあわせても50分足らずで終わってしまう小品です。

  1. さっきまで優しかった人
  2. きみはただ淋しいだけ
  3. 電話
  4. 雨の香り
  5. 振り返るあなた

登場人物は各回ともふたり

すべての回のすべての出演者を山田さんと山村さんが演じる…というよりは、そもそもすべての回で登場人物がほとんどふたりだけです。
この辺、同じ「カフェテラスのふたり」で、大量の登場人物を山田さんが演じ分けていた「星へ行く舟」とはかなり雰囲気が違います。

Hirokazu

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