Categories: 格付:B

5DROPS 作:橋本信之ほか(青春アドベンチャー)

  • 作品 : 5DROPS
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : B
  • 分類 : 多ジャンル(競作)
  • 初出 : 2001年2月5日~2月16日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 作  : 下表のとおり
  • 音楽 : BANANA
  • 演出 : 中島由貴、濱田裕之
  • 主演 : 板谷由夏、今井朋彦

本作品「5DROPS」(ファイブ・ドロップス)は、NHK-FM青春アドベンチャーで放送されたラジオドラマ作品で、オリジナル脚本の短編で構成されたオムニバス作品です。

どこまで「10人作家シリーズ」というべきか

NHK名古屋局は1996年の「新・夢十夜」以降、断続的に、ひとつの共通テーマをもとに脚本家が脚本を持ち寄るオムニバス作品を制作しており、「10人作家シリーズ」(名古屋脚本家競作シリーズ)などと呼ばれています。
ただし、「不思議屋シリーズ」や「ライフシリーズ」のようなシリーズ内のタイトルの統一性はないため、作品ごとのテーマははっきりしませんし、そもそもどの作品までこのシリーズに含まれるかも不分明です。
本作品で言うと、2回で1話という構成のため、脚本家は5人しか参加しておらず「10人作家」ですらありません(同様の2回=1話構成の作品として「新・動物園物語」があります)。

主演は名古屋出身ではない

なお、このシリーズ、名古屋局の制作ですので、名古屋局が主催している創作ラジオドラマ脚本募集での受賞者さんや、名古屋ご出身の俳優さんを起用するのがお約束ですが、厳密なルールではないようで、本作品の主役を務める板谷由夏さん、今井朋彦さんはおふたりとも名古屋とは無関係のようです。

各回の内容

さて、本作品の各回のタイトル、作者、ジャンル、粗筋及び一言は以下のとおりです。
テーマは各回のタイトルからすると「色」のようです(他に「色」をテーマにしたオムニバス作品としては「カラー・ライフ」があります)。
基本的に、前編・後編が2回連続で放送されましたが、「探偵セピア」のみ、第5回と第10回とに日にちを分けて放送されています。

◆第1・2回 「ポイズン・イエロー」 (橋本信之)

分類 : 幻想(日本/シリアス)
ようやく大きな役をもらえた兼業女優。喜んで顔合わせに行くと演出家は猿だった。

冒頭の「猿よ~、猿なのよ~、あなた達は猿なのよ~」は衝撃的だが、それ以外は…

◆第3・4回 「みどりのひと」 (大田淳子)

分類 : 幻想(日本/シリアス)
僕の息子はカエルに似ているからケロちゃん。ケロちゃんはまだ3つ、僕の中ではね。

上記の冒頭の一言はなかなか印象的だが、内容は予想以上に沈鬱でやるせない。

◆第6・7回 「ももいろのみなも」 (二木美希子)

分類 : 少年(中高)
失踪した友人をその彼女と伴に捜索する。自分の家もそれどころではないのだが。

教育虐待などは今日的なテーマではある。逃げた先がパン屋とは少し陳腐だが。

◆第8・9回 「レッドバタフライ」 (土肥陽子)

分類 : 日常
同じバス停を使うが一度も会話をしたことがないふたりに、最終運行日、事件が起きる?

男女ふたりの視点が複雑に入れ替わり飽きさせない。日常生活圏が舞台だが上手い。

◆第5・10回 「探偵セピア」 (山内将史)

分類 : 幻想(その他)
依頼は失踪した男の捜索。手がかりはセピアに色あせた1枚の写真のみ。

内容が難解で結末はよくわからない。ところで若い方、ソノシートってご存じか?

出演者について

いずれの回も板谷由夏さんと今井朋彦さんが主演格で、他の俳優さんが助演する構成。
「みどりのひと」のように11人(主演のお二人のほか、小林正和さん、本庄駿太さん、栗田麻衣さん、菖蒲公手さん、内田藍子さん、山本恭史さん、鈴木敬介さん、吉田章吾さん、井上駿さん)も出演する作品もあれば、5人(主演のお二人のほか、小林正和さん、田辺文美さん、富田亜希さん)しか出演しない作品もあります。
主演のおふたり以外で全作品に出演されたのは小林正和さんだけです。

名古屋局のオムニバスにしてはわかり安い

内容については例によってどの作品も登場人物がぶつぶつ呟いているような作品ばかりで、外出先でイヤホンを使って聴くと聞きづらいったらありゃしません。
内容も特に「みどりのひと」・「探偵セピア」は曖昧。
とはいえ他の3作品は(名古屋局の作品にしては)筋自体は割と分かりやすく、特に「レッドバタフライ」は構成こそ凝っているものの、至って素直な作品。
実はこの「レッドバラフライ」、2018年初めに当ブログで「青春アドベンチャーの歴代ベスト作品」の投票をお願いした際に得票のあった作品(1票だけですが)。
個人的にもどうせ凝るならこういう方向性がいいなあ、と感じました。
本作品の格付けは「レッドバタフライ」が引き上げています。

Hirokazu

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