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レンタル・メモリアル 作:大橋泰彦(FMシアター)

  • 作品 : レンタル・メモリアル
  • 番組 : FMシアター
  • 格付 : B-
  • 分類 : コメディ
  • 初出 : 1994年3月12日
  • 回数 : 全1回(50分)
  • 作  : 大橋泰彦
  • 演出 : 川口泰典
  • 主演 : 川久保潔

佐藤啓子と鈴木正夫は結婚直前のカップル。
しかし啓子はマリッジブルー気味。
今回が念願の仲人100組目となる田辺部長夫妻はやる気満々だが、啓子からすると、人に話すような馴れ初めもないし、自慢できるようなプロポーズもないままではどうしても結婚できない。
そこで啓子はこういう時に助けになってくれるという「レンタル・メモリアル」という会社を呼び出す。
この会社から「思い出」をレンタルして馴れ初めを演出したいというのだ。


本作品「レンタル・メモリアル」は1994年にFMシアターにて放送されたラジオドラマで、劇作家シリーズとして銘打って放送されました。

脚色は大橋泰彦さん

脚本は三原山噴火をモチーフにした作品「ゴジラ」で岸田戯曲賞を受賞した大橋泰彦さんです。
大橋さんは青春アドベンチャーでは1990年代に「テレヴィジョン・シティ」など多くの作品を脚色されています。

演出は川口泰典さん

一方、演出は当時、青春アドベンチャーの大部分(といっても過言ではない)の作品の演出を手がけられていた川口泰典さん。
出演者もいかにも「川口組」という感じのメンバーです。
なお、2022年におおむね20年ぶりに川口さんが青春アドベンチャーで演出された「鷗外 青春診療録控 千住に吹く風」は大橋さんの脚色によるものでした。

男女×3組だけで進行

さて作品の内容は結婚を控えた男女を中心とするドタバタコメディです。
啓子と正夫の結婚直前カップルと仲人の田辺夫妻の2組の男女のかみ合わないやり取りから物語はスタートし、全体の3分の1くらいのところで「レンタル・メモリアル」代表取締役の清水と営業三課の山田の最後の男女1組は加わり話は進行します。

思い出をレンタルする会社?

「思い出のレンタル」という奇妙な設定(ただし超常的な要素は一切なし)が会話劇で面白おかしく展開し、最終的にはこの設定がらみでちょっとしたどんでん返しで美しく締まります。
思い出のレンタルという要素も、客観的にみるとあり得ないのですが、聞いているうちにありかもと思えてくるのはさすがベテランの作ですし、それも含めて楽しく聞くことができました。
ただコメディとしてどの程度笑えるかというと、それほどとしか言えず。
人生の哀感的な部分も心にしみるというほどでもなく、なかなか評価が難しいところではあります。

2組の出演者のご紹介

さて上記の通り本作品は3組の男女が登場する作品。
キャストの並び順としては田辺部長夫妻を演じる川久保潔さん(NHK放送劇団のベテラン俳優)と宝塚出身の上月左知子さんが一番最初に並びます。
そしてレンタル・メモリアルの清水・山田コンビを演じる姿晴香さん(元星組トップ娘役)と浅野和之(夢の遊民社)さん。
このお二人は川口泰典さん演出の「サンタクロースが歌ってくれた」にも出演されていますね。

実は前田悠衣さんの主演?

そして最後に佐藤啓子役の前田悠衣さんと鈴木正夫役の小松正一さんという、これまた川口組の常連さんが並びます。
一応、並び順でいえばこの作品の主演は川久保さんとなるのかもしれませんが、実質的には川口組きっての主演女優といってよい(2022年の全作品リスナーアンケートでも出演者部門1位(13票)でした)前田さんの主演作品だと思います。
前田さん、青春アドベンチャーの川口作品では高音でハイテンションでしゃべることが多い(実際少女の役も多かった)のですが、本作品では普通の妙齢の女性役で(比較的)落ち着いた演技です。

【川口泰典演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。こちらをご覧ください。傑作がたくさんありますよ。

Hirokazu

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