- 作品 : テレヴィジョン・シティ
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : C+
- 分類 : SF(その他)
- 初出 : 1993年5月24日~6月4日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 原作 : 長野まゆみ
- 脚色 : 大橋泰彦
- 演出 : 中島由貴
- 主演 : 高橋守
その星に住むすべての少年は両親と離れて暮らしていた。
そして、その星には空も海もなく、代わりにすべてのビルの壁ではテレヴィジョンが碧い星の風景を移し続けていた。
アナナスは15億キロ離れた碧い星に住む「ママ・ダリア」からの手紙を楽しみにして暮らす少年。
この年、アナナスは児童から生徒になり、イーイーという少年と同室になった。
そして楽しみにしていた初めての夏休み。
しかし、やがてアナナスと仲間たちはこの世界の成り立ちに疑問を持ち始める…
青春アドベンチャー系のラジオドラマ番組で3作品が取り上げられた長野まゆみさんですが、本作品「テレヴィジョン・シティ」は2番目に取り上げられた作品です。
ファンタジー? SF?
これらの3作品はいずれも少年を主人公とし、非現実的なファンタジー空間を舞台としている点で共通していますが、「少年アリス」や「天体議会~プラネット・ブルー」と比較すると、本作品はディストピア的な要素があり、宇宙船も登場するなどSF色が強い作品です。
そのため本ブログでのジャンル分けは一応、SF(その他)にしましたが、いわゆるScienceな部分はほとんどなく、一部のSF的な道具立てを除けば「ファンタジー」という言葉がぴったりの作品です。
私には難しすぎる
…で、内容ですが、正直な話、私には「天体議会」と同様にさっぱりわかりませんでした。
結局、この世界にどんな意味があったのか、碧い星の実態はどうなっていたのか、なぜ子供ばかりが集められていたのか、等々、結局よくわかりませんでした。
男の子ばかりが、それも女性の目で理想化された男の子ばかりが絡むストーリーも、キャラクターの実在感が感じられず、何とも言えない居心地の悪さがあります(ファンタジーなので生生しい男児なんてファンは求めていないのかもしれませんが)。
ビルドゥングスロマンと捉えれば何とか
ただ、全体的な筋としては、「少年が自分の住んでいる世界に疑問を持ち、広い世界を目指して旅立つ」という、SFではオーソドックスな成長物語です。
このパターンの作品は、「僕たちの宇宙船」、「ニコルの塔」、「小惑星美術館」など、青春アドベンチャーでは割と良く見る、わかりやすいものであり、本作品は「少年アリス」や「天体議会」よりも長い10回構成であったにもかかわらず、最後まで興味を失わず聴くことができる作品でした。
好きな人は好きなんだろうなあ
結末も、良く考えると相当残酷ではありますが、この種の作品によくある、何となく雰囲気だけでストーリーが進む作品よりはよほど好感がもてます。
そのため、本作品のようなセンチメンタルでリリカルでありながらどこか無機質な作品が好きな方、このような雰囲気から想像の翼をはためかせることができる方には別のご感想もあろうかと思います。
ご不快になられたのであればご容赦頂ければ幸いです。
子役の来歴はわからず
さて、主役のアナナスを演じられたのは高橋守さんという方。
この記事を作成するにあたりグーグルで検索してみたのですが、よくわからず。
正直、あまりうまいとは思えず、特に状況説明をしている場面では丁寧すぎるというか、たどたどしいというか、かなりゆったりとしたしゃべり方。
むしろ激情に駆られて叫ぶシーンの方が上手いように感じました。
その他、イーイー役の鈴木寛政さんや、シルル役の石塚孝雄さんといった、高橋さんと同世代のであろうと思われる方々がメインキャストですが、「銀河英雄伝説」のメックリンガー役や、「北斗の拳」のトキ役を演じている土師孝也さんが渋い声を聴かせてくれるのは、本作品のちょっとしたトリビアでしょうか。
スタッフについて
スタッフは、脚色が大橋泰彦さんで演出が中島由貴さん。
通常は、ひとりの原作者さんの作品は集中的に同じ演出家さんが取り上げることが多いのですが、長野まゆみさん原作の3作品は、すべて脚色・演出が違う方です。
長野さんが多くの方に愛されている証だと思います。
コメント
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テレビジョンシティについて
確かに最初は取っ付きにくいというか内容が入ってきませんでした。
しかし、効果音やアナナスとジロとの口ケンカ、そして選曲(伊藤守恵)、
結局何故聴こうとしたかと言うと、
物語の最初の音楽(第1話の冒頭2、3分を聴いてみて良いなと思ったのですYouTubeで聴けます)が良いなと感じたので聴いてみて、
後々じっくりと聴いてみたら、とても好みなラジオドラマになりました。
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アドベンチャーさま
コメントありがとうございます。
食わず嫌いはいけないと思うので、「少年アリス」から3作品とも聞いたのですが、私にはピンときませんでした。
長野まゆみさんは熱心なファンがいる作家さんなので、良さがわかると世界が広がるのだろうとは思うのですが。
芸域を広げるのはなかなか難しいです。
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いえいえ、
私もたまたま自分の好みが見つかったので、
それが分からなければ同じ感想だったと思います。
それを証拠に天体議会の良さがまだ分かりません。
人それぞれ感性が違いますので。
ただ、
最初聴いた時は内容が入ってこなかったけど、
たまたま何かのきっかけで聴いてみたら、
あ、面白いかも!みたいな物語もありました。
それが「盗まれた町」でした。
青春アドベンチャーのような長いラジオドラマほど、
後々になって面白味が分かってくるのかな?と思いました。
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アドベンチャーさま
コメントありがとうございます。
年月を経て評価が変わることもありますよね。
私も最初に「怪人二十面相・伝」を聴いたときには、「パッとしない作品だなあ」としか思いませんでした。
> いえいえ、
> 私もたまたま自分の好みが見つかったので、
> それが分からなければ同じ感想だったと思います。
>
> それを証拠に天体議会の良さがまだ分かりません。
>
> 人それぞれ感性が違いますので。
>
> ただ、
> 最初聴いた時は内容が入ってこなかったけど、
> たまたま何かのきっかけで聴いてみたら、
> あ、面白いかも!みたいな物語もありました。
>
> それが「盗まれた町」でした。
>
> 青春アドベンチャーのような長いラジオドラマほど、
> 後々になって面白味が分かってくるのかな?と思いました。