2017-03-09

格付:A

還れ、大山へ(かえれ、だいせんへ) 作:よしおよしたか(FMシアター)

「遠藤権造(えんどう・ごんぞう)さんの様子を見てきて欲しい」アパートの大屋にそう頼まれた私は遠藤老人の部屋を訪ねた。私の職場は、区役所の高齢福祉課。独居老人の見守りや万相談対応が仕事だ。遠藤老人はもともと足が悪く、言葉も不自由だったが、その日、部屋に訪ねてみると特に体調が悪そうだった。仕方がない。遠藤老人を外に運びだそうとした私だったが、彼が手に持っていた手ぬぐいを引っ張ったところ、突如、彼は暴れ出し、私を羽交い締めにし始めた。苦しい…抵抗の末、やっと意識を取り戻した「私」だが、周りを見るとなぜか山深い里に女性とふたりでいることに気がついた。自分は一体、どうしてしまったのだ?足が動かない。言葉も出ない。ケガをしているのだろうか。
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