家族

格付:A

薔薇のある家 作:オカモト國ヒコ(FMシアター)

足のケガ以降、仕事をしていない往年の大女優に舞い込んだ依頼は知り合いの女優の代役。 代役ということで一度は断ったが、じっくりと考えた末に受けることを決め、付き人の中年女性に伝えたところ、猛反対を受ける。 代役なんて受けるべきではない、復帰ならしっかりした作品でやりましょう、という付き人に対し、役者でいられる時間は残り少ないと強硬に出演を主張する女優。 そして、女優は付き人に言い放つ、「あなたは私をずっと恨んでいる。だから復帰させたくないのでしょう」。 やがてふたりの会話は、ふたりの関係、ふたりの過去を明らかにしていく。
格付:A

礼文バージンロード 作:桜田ゆう菜(FMシアター)

礼文島で昆布漁師をする道夫のもとに、別れた妻と同居している娘の夏来(なつき)が訪ねてきた。 結婚が決まったので、結婚式で一緒にバージンロードを歩いて欲しいという。 お父さん結婚式来てくれるでしょ、という夏来に道夫は即答できない。 実は夏生は妻が不倫の末に別の男との間に設けた子供なのだ。 しかも今、夏来と暮らしている彼女の義理の父ことが、妻の不倫相手だ。 しかし、元妻から夏来に出生の秘密を明かすことを止められている道夫は出席できない理由を説明することができない。 次第に険悪になる夏来と道夫だが…
格付:A

ふたりの娘 作:新井まさみ(FMシアター)

建付けの悪い扉を力いっぱいに開けたら、向こう側に1人の少女が立っていた。 わざわざ東京から京都まで訪ねて来たはずなのに、すぐに帰ろうとする少女の態度に不審を感じて問い詰めると、彼女は父の不倫相手の娘だった。 父が遺書にとんでもないことを書いていることが発覚して、今、両親は離婚寸前。 娘である私としても父に裏切られたという思いしかない。 寄りにもよってこんなタイミングでやってきたこの少女は、またとんでもないことを言い出した。 不倫相手の女が死んで、そちらも遺言を残したというのだ…
格付:A

70歳の受験生 作:さわだみきお(FMシアター)

母・洋子の四十九日法要の日、集まった家族に向かって父・誠は宣言した。 「俺ももう七十。残りの人生を自分自身のために過ごしたい。今年から受験生になる!」 驚愕する家族。 特に息子の修一は「年相応の生き方をすべき」と父の行動を全否定。 腹を立てた誠は早速、受験予備校に入学。高校生の塾友と一緒に勉強を始めた。 しかし、現実は勉強勘を取り戻すことに精一杯で、何度模試を受けても志望校の合格ラインには届かない。 やはり無謀な挑戦なのだろうか。 誠はなぜこんなことを始めたのだろうか。
格付:B

今年の梅は 作:伊佐治弥生(FMシアター)

世の中には“便利屋”という仕事に不信感を持つ人間もいる。 確かに家庭内の仕事を手伝うという性格上、その家庭のナイーブな側面に触れざるを得ない面はある。 ましてお客が老人の場合、なぜ他人である便利屋に頼むのか、老人の弱みに付け込んで金をとっているのではないかと、依頼人の家族に思われることもある。 しかし、それにしても突然現れた倫子さんの大学生だという孫の言い方は失礼過ぎる。 これまで倫子さんとは適当な距離を保ち楽しくやってきたのだ。 それに私にだって事情はある。 女ひとりで便利屋を切り盛りすることはそんなに楽なことではないのだ。
メディアミックス情報

芦田愛菜さん主演「エンディングカット」がFMシアターと同じ主要キャストでTVドラマ化

FMシアター→TVドラマ 2019年2月に芦田愛菜さん主演で放送されたラジオドラマ「エンディング・カット」が、NHK総合の土曜ドラマ「エンディングカット」としてTVドラマになることが発表されました。 主演の芦田愛菜さんを始め、父親役の佐藤隆...
格付:AA

ほぞ 作:水城孝敬(FMシアター)

「ほぞ」とは、家具の板と板をつなぐときに作る突起のこと。 「ほぞ」と「ほぞ穴」を上手く作ることができれば釘を使うよりも丈夫な家具が作れる。 夫の基一(きいち)は腕のいい指物師で、職人らしく人間関係に不器用なところもあったけど、ほぞをつくる名人としてお得意さまからの信頼が厚かった。 そんな夫がある時から納期を忘れるようになった。 それだけではなくお得意さまの顔も。 指物の作り方も。 そして妻である私の顔や名前さえも。 落ち込む夫は、指物が作れなければ自分はただの用なしだ、という。 でも私は知っている。彼は少なくとも私にとって用なしではないことを。
格付:B

太秦ムービースター 作:滝本祥生(FMシアター)

さすが太秦(うずまさ)、映画の街。 高校の夏休みの課題がショートムービーづくりとか、優秀作は学園祭で放送されるとか。 でも、転校して3か月の私のとっては迷惑でしかない。友だちがひとりもいないのにどうやって映画を作れというのか。 でもひとりのクラスメイトが声を掛けてきた。 彼女曰く「この映画で人気者になって、一緒にこの虚しい日陰人生から脱出しよう!」って……うざい。面倒くさい。 しかもはずみで私のおじいちゃんが元俳優だと洩らしたら、おじいちゃんを主演にするとはしゃぎだす始末。 仕方なくおじいちゃんに出演交渉したら言われてしまった。「ギャラはなんぼや。」 最悪…何もかも最悪…
格付:B

産後途中下車 作:池谷雅夫(FMシアター)

こんなはずじゃなかった。 確かに産休前にはこういったわ。 「私は子育てが楽しみ。育休中は専業主婦、頑張るからね。ちゃんと良いママになってこの子に愛情を注ぎたいんだ。もちろん安夫の奥さんもしっかりやるわよ。」 でもあなただって言ってくれたじゃない。 「がんばり過ぎないで。洋子は頑張り屋だから仕事も家事もよくやっているけど。全部何でも一人でやろうとするからさ。僕もやるときはやるからさ、言ってよ。」 それなのに、靴下を洗濯かごに入れて欲しいと言うことになんでこんなに気を使わないといけないの。 確かに言ったわよ、「うちのことは私に任せて、お仕事頑張って。」って… だけど。
格付:B

また逢う日のうた 作:東多江子(FMシアター)

天袋の奥の古い柳行李から母・千代の日記が出てきた。 不揃いのワラ半紙を麻ひもで綴じたその日記は、昭和19年10月25日、弟、隆造との別れから始まっていた。 昭和19年、韓国が日本の植民地だった頃。 京城(今のソウル)に住んていた姉は結婚を控えた21歳、学徒出陣した弟は京城帝国大学の学生だった。 別れ際に、弟の吹くハーモニカで敵性音楽の"My Blue Heaven"を歌い再会を誓った姉弟。 ごく普通の日本人姉弟が戦中・戦後にどのような青春時代を過ごしたのか、母の日記を通して息子は知ることになる。
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