
ミシンの音色を、もう一度 作:清水有生(FMシアター)
唐津の不動産会社からかかってきた突然の電話は、父の死を伝えるとともに彼の店の片付けの依頼するものだった。
3歳の時に母と一緒に唐津を離れてから30歳の今まで父とは一度も会っていない。全く身内には思えない。
しかし、父に身寄りがないのであれば仕方がない。
幸か不幸か10年勤めたアパレルメーカーを丁度退職したところで時間もあった。
仕方なく赴いた唐津でみどりを待っていたのは、父の遺したミシンと遺品リメイクの仕事。
そして、思いがけない出会いと再会だった。