日常

格付:A

ロゼットの朝 作:飯野陽子(FMシアター)

3人だけの職場、社史編纂係。 役職から外れ子会社への出向という身分。 職場も東京から高速で1時間ほどかかる旧物流倉庫内のプレハブ事務所。 つまり左遷だ。 しかし仕事は仕事。 どんな仕事でもきちんと成果を出さないといけない。この2人とともに。
格付:B

月の立つ林で 原作:青山美智子(青春アドベンチャー)

本作品「月の立つ林で」は2023年本屋大賞第5位の同名のオムニバス小説を原作としたオーディオドラマです、 青山さんは「お探し物は図書室まで」で2021年第2位、「青と赤のエスキース」で2022年第2位、2024年「リカバリー・カバヒコ」で2024年ノミネート中など、本屋大賞の常連の作家さんで、日常生活の断面を切り取って細やかな心情を描くタイプの作家さんです。 基本的に連作短編集の形態をとることが多く、本作品もそのひとつ。 近年の青春アドベンチャーではちょうど1年前に放送された窪美澄さん原作の「夜に星を放つ」がやや近く、現代日本を舞台に日常を描く作品であること、1話が15分×2回で構成されていることなど類似点が多いです。
格付:C

ポンコツおやじとみんなの保育園 作:内村宏幸(FMシアター)

熊本県・鹿児島県を襲った集中豪雨。 山間の一級河川の氾濫は多くの集落を飲み込む大災害を引き起こした。 3年後、久しぶりにサトシが帰った故郷は川こそ以前のままだったが、鉄橋は折れたまま、人口も半分近くに減るなど寂しい状況だった。 そして何より母が園長を務める保育園が閉園を余儀なくされるという。園児が全員地区を離れることになったからだ。 この状況にサトシの心は揺れる。自分にできることはないのか。保育園を再開することは無理でも代わりに人が集まれる施設はできないものだろうか。
格付:B

ホットサンド 作:足立聡(FMシアター)

腰を痛めた父の面倒をみるために大阪へ戻ってきた。夢を諦めて。 いや違う、本当は逃げ出したんだ。役者で大成する見込みがなかったから。 ホットサンド専門店も特になにか夢があって始めたわけではない。 父がやっていた弁当屋の設備があったから、特別な技術がいらないから、近くに病院があって出前の需要が見込めるから。その程度の理由だ。 そんなホットサンド屋に、ある日、高校生の少女が飛び込んた。 「私、ホットサンド大好きなんです!いつかホットサンドに囲まれて生活したいってずっと思ってました!もうずっとずっと思ってました!働かせてもらえませんか?何でもやります!バイト代とかいらないんで!」
格付:C

レオナルド・ダ・ヴィンチの恋人 作:竹山洋(FMシアター)

なんて馬鹿なんだろう。軽蔑だわ。結婚なんかしなればよかった。 あなた、いつになったら仕事が来るの。いつになったらお金が入ってくるの。 貧乏の呪いよ。あぁ洋服が欲しい。死んでほしい。うんざりだわ… 結婚して40年になる頼子と秀治の夫婦。 秀治は作家だが、コロナ以降仕事がなく家でぶらぶらする毎日。 お金もないのに何事に対してもお気楽ですぐにはしゃぐ秀治に、頼子はイライラしてならない。 そんな中、頼子は近所のイタリア料理店の若きシェフ中村に心惹かれるのだが。
格付:A

琥珀(こはく)のひと 作:新井まさみ(FMシアター)

極寒の奥日光にもまた春がやってくる。 ただ、このあたりには観光するものはなにもない。 地元の人間ですらめったに通らない山道を若い女性が歩いているのはやはり不審だ。 そう考えてモーリーこと矢部吉森は彼女に声を掛けたが、彼女は自分に会いに来たという。 確かに国産メープルシロップは珍しい。 ふもとで聞けばこの山に行けば会えると言われるのも確かだろう。 しかし、若い女性がメープルシロップの製造現場を見るためだけに、老人がひとりで暮らす雪深い山中まで来るものだろうか。
格付:A

夜に星を放つ 原作:窪美澄(青春アドベンチャー)

2022年上期の第167回直木賞を受賞した窪美澄さんの小説「夜に星を放つ」。 そのオーディオドラマ化作品が本作品です。 原作小説は相互にストーリー上の関連がない5篇の短編から構成されていますが、本作品はそのすべてを15分×2回ずつでドラマ化しています。 いずれも人との出会いや別れといった人間関係の移ろいを繊細に描いた作品群で、第1週目の最初の2話については少しの恋愛要素を織り込みつつ少しの痛みを伴う別れの物語になっていました。 本作品は当記事アップ時点で第3目の前半が終了したところ。 全体が終了した時点で記事を修正したいと思っています。
格付:B

家族ってなんや 原作:田川律(サウンド夢工房)

私は小劇団で女優をしている27歳。 朝、井の頭公園のベンチで台本を読んでいるときに大声で変な歌を歌っている不思議なおじさんに出会ったの。 おじさんの名は田川律(ただす)。 私よりもひとつだけ年上の奥さんと暮らしているという彼のお宅にお邪魔して観察したところ、炊事や洗濯だけではなく、編み物なんかも自分でこなしている様子。 彼は一体どんな人生を送ってきたのだろう。 彼がいうにはまるで家族生活の様々なスタイルを実験してきたみたいに色々な家族を作ってきたらしいのだけど。 私は彼のこれまでの人生を教えてもらいに彼の家に通うことにした。
格付:B

紅いハンカチ 作:藤井香織(FMシアター)

俺は今年も広島へ向かう。 辛くても忘れないこと、死ぬまで。 それが罪滅ぼしだと思ってきたからだ。 しかし、浪子さんとの約束を果たそうとは思ってこなかった。 「もしまたいつか会ってくれるなら…」 浪子さんはどういう思いでそう書いたのだろう。 今年、俺はこの女性と俺は初めてこの海を渡る。 浪子さんと約束した弥山の消えずの火をみるために。
格付:C

婚礼、祭礼、その他 原作:津村記久子(FMシアター)

ヨシノは人を呼びつける才能がとことん欠けている。 しかし、呼びつけられることには慣れている。 今回は学生時代の友人の結婚式に呼ばれた上に、二次会の幹事と披露宴のスピーチを仰せつかってしまった。 少しだけ気が重くなりつつも、きちんと準備をして臨んだヨシノだが、なんと同日に上司の父親のお通夜も入ってしまう。 仕方なく、二次会の幹事と披露宴のスピーチを後輩に頼んで葬式に向かったのだが…
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