格付:AA コクハラ 作:小峰貴之(FMシアター) 水島さんはボクの初めての部下だ。 仕事はまじめで丁寧。ミスをしてもちゃんと謝ることができる。 ボクの意見に流されずきちんと自分の意見も持っているし、相手へのフォローも忘れない。 一言で言って「可愛い部下」だ。可愛い… 可愛い? あれ?俺、さっきから「可愛い」しか考えてなくないか? うすうす感じてたけど、これ、そうだよな?やっぱ、そうだよな… 2024.09.07 格付:AA
格付:AA 歌をなくした夏 作:桑原亮子(FMシアター) 秋月史子は歌人志望の若い女性。 人づきあいが苦手で、暗くて重い短歌しかつくれないが、それでも自費で第一歌集を出すことを目標にコンビニと喫茶店で掛け持ちのバイトを続けてきた。 しかし生活に追われる日々の中でいつしか短歌が作れなくなってしまった。 そんなスランプの最中に史子はバイト先のコンビニでひとりの少女に出会う。 少女は一日中コンビニや公園で時間をつぶして誰かを待っているようなのだが… 2024.02.02 格付:AA
格付:AA 死にたがりの君に贈る物語 原作:綾崎隼(青春アドベンチャー) 人気作家・ミマサカリオリが死んだ。 正確には、そうSNSで発表された。詳細は不明だ。出版社も沈黙している。 確かなことは、最新刊が大炎上した代表作「Swallowtail Waltz」(スワロウテイル・ワルツ)シリーズは最終巻を残して未完となったということだけだ。 ミマサカリオリの小説は、生き辛い人々に希望の光を与えたとも、とも称される。 僕にとっては完全に前者だ。 だからこの企画に参加することにした。いや参加せざるを得ない。 「Swallowtail Waltz」の舞台になった廃校で作品と同様に共同生活をする。 確かにこんなことをしても作品の結末に近づける保証はない。 でも「Swallowtail Waltz」の続きが読めない世界で、この企画に参加するほかに何を希望に生きていけばいいんだ。 2024.01.16 格付:AA
格付:AA 肥後の石工 原作:今西祐行(アドベンチャーロード) 天保10年(1839年)秋深く。 石工頭、岩永三五郎は薩摩藩に依頼された石橋を無事に完成させ、故郷・肥後への帰途にあった。 しかし、事件は工事が終わってから始まった。 ひたひたと追跡してくる怪しい影。 自分は命を狙われているのか。心当たりは…ある。 完成させた橋には中央の石をひとつ取り外すだけで簡単に崩壊させることができる特殊な仕掛けを施してある。当然、戦になった場合を想定してのものだ。 追っ手を差し向けたのは秘密を守りたい薩摩藩か。 死にたくない。 しかし道を外れ山を越えて一安心したのもつかの間、追跡してきた侍は大胆にも直接、宿の部屋に三五郎を訪ねてきた。 覚悟を決めるしかないのか。 2023.10.06 格付:AA
格付:AA 檻の中の殺意 原作:テリー・ブラジンスキー(アドベンチャーロード) 野生動物の本当の姿は野生でしか見ることができない。 それが動物学者としてのスティーブの主張であり、長年、サンフランシスコ動物公園の園長を務める父とは最近は喧嘩ばかりだ。 しかし父が倒れ、嫌々、動物園の延長代理となって改めて感じるのは、自分の原点はやはりこの動物園であったということ。 何より動物が好きだし、動物園もより良いものにしていきたい。 そう心に誓ったスティーブだが、着任早々、カモシカが不審な死を遂げる。 そして送られてきた不吉なメッセージ。 「園長、お前は俺の天使たちを閉じ込め虐待している。こんなことが続いて言い訳がない。カモシカは解放された。次はどの天使の番かな」 2023.09.29 格付:AA
格付:AA 長く孤独な狙撃 原作:パトリック・ルエル(アドベンチャーロード) 緻密な計算による完璧な仕事。それが彼の主義だった。 だから距離が1250mあったとしても、狙撃をはずしたら引退以外の選択肢は彼にはなかった。 しかし湖水地方で引退後の生活の場を探していた彼に不思議な出来頃が起きた。 たまたま親しくなった女性の父親が、彼の最後の仕事(失敗したロングキル)の標的と同一人物だったのだ。 こんな偶然があるのだろうか。 自分の知らないところで何かが起きていたのか、そしてこれから何かが起きるのか。 2023.07.04 格付:AA
格付:AA 玉麒麟 羽州ぼろ鳶組 原作:今村翔吾(青春アドベンチャー) 「あーあ、また深雪さまにしかられてしまう」 頭取の愛妻の能面のような顔を思い浮かべ鳥越新之助は苦笑した。 しかしつぶやくや否や、新之助の心中に浮かんだ深雪の顔は笑顔に変わった。 「新之助さんがそんなことをするはずがないですよ」 そう、組のみなは決して私のことを疑わないだろう。 お頭も、先生も、武蔵さんも、寅次郎さんも、彦弥さんも、みな力になってくれるだろう。それでも… 今は逃げなければならない。 小さな命と真実を守るために。 江戸の全てを敵にまわしたとしても。 2023.06.11 格付:AA
格付:AA 傑作が落ちてくる 作:杉野大吾(FMシアター) 「金ならもうすぐ入りますから! 小説書いてそれが出版されるんですよ! そしたら印税入るんで!」 …… ダメだ、自分で聴いても、うさん臭い。信じてもらえそうにない。でも… 「酔っぱらって階段から落ちらた傑作が降ってきて!」 …… ……やっぱりだめか。 「佐々木ぃ、こいつ外階段に連れてって。それで突き落として。 階段から落ちれば小説書けるんだろう?手伝ってやるからさぁ。」 !!やめてやめて離してください!助けて~! 2023.05.19 格付:AA
格付:AA 面影 作:兵藤るり(FMシアター) 私の娘は7歳で亡くなった。ほんの一瞬のことだった。 あれから10年。 勤務する特別収容生物研究所に送られてきた新しい怪物の姿を見た瞬間、息が止まった。 怪物に娘の面影がある。 生きて17歳になっていれば、そうなったであろう成長した娘の面影が。 2023.04.14 格付:AA
格付:AA 査察機長 原作:内田幹樹(FMシアター) 昨日は成田のホテルに泊まったのに緊張でほとんど眠れなかった。 機長になって初めてのチェックフライト。 しかも査察機長はよりにもよって、あの氏原だ。 今も、彼の切れ長の目が猛禽類のように見つめている。 やりづらいったらありゃしない。 今日の成田-ニューヨーク間のフライト。 何とか無事にやり遂げないといけない。失敗したら機長の資格は剥奪されてしまうのだから。 2023.01.13 格付:AA