格付:A

格付:A

i²-アイノジジョウ 作:さわだみきお(FMシアター)

中学まではよかった。数学で躓きが始まったのは、あの虚数という得体のしれない数が登場してからだ。だけどわが家は経済的に国公立しか選択肢がない。だから数学を捨てるという選択肢もない。仕方なく塾の先生に相談したところ「高校数学 よくわかる虚数 躓き問題の傾向と対策そして攻略四十八手」というマニアックな参考書を推薦されたが、マニアックすぎて図書館や本屋に滅多においていない。ようやく本屋で見つけたものの1冊しかないためおじさんと奪い合いになってしまった。数学の参考書を読むなんて変なおじさんだと思ったけど…?…おじさんの胸元と袖口から見えるのは…入れ墨!?
格付:A

10トンドライバーのトパーズ 作:今城文恵(FMシアター)

大型トラックの運転手に女性は少ない。いたとしても子供を産むまでの仕事などと言われて、珍獣扱いされるのが関の山だ。今日もドライブインで声をかけられた。本当に面倒くさい。だからバスがなくなって困っている男性を乗せたのも気まぐれだ。いや私のトラックでもちゃんと送り届けるということを見せたかったのかもしれない。
格付:A

海の綺士団 -Umi no kishidan- 原作:戸川視友(青春アドベンチャー)

イタリア半島とアフリカ大陸の中間、地中海に浮かぶ島・マルタ。16世紀、その島は聖ヨハネ騎士団が支配する独立国家だった。しかし、世はオスマントルコ帝国の最盛期。キリスト世界の最前線たるマルタ島は、すなわちオスマントルコの次の侵略先ということでもある。この緊迫したマルタ島にひとりの新たな騎士が着任する。騎士の名はアシェル。このフランスはアヴィニョン出身の18歳の若者が騎士団にとって特別に存在になることを予期しているものはまだ少ない。
格付:A

アンモナイト!!! 作:足立聡(FMシアター)

「ちょっと待ってください!」一言だけ残して走り去った男が駆け戻ってきた。「これ、友郎さんに差し上げます。」自称、気遣いができて、謝るということもできるという学芸員さんだが僕の気持ちを推しはかることはできないようだ。でも。「これはゴニアタイトというアンモナイトの化石です。さあ手に取ってください。よく見てください。このアンモナイトが3億年前に生きていたのです!」でも、手に取った時、今にも動き出しそうな気がしたのだ。見たことのない3億年前の世界がとんでもなく広がっていくような気がしたのだ。
格付:A

サウンドミュージカル 雪色オルゴール 作:まきりか(特集オーディオドラマ)

アスカは自分に自信が持てない高校2年生。アスカにとって、世界的なジュエリーデザイナーである母ユリもコンプレックスの対象でしかなかった。しかし、そんなキラキラした母にも一点、影が差すことがある。自分の出身地、北海道・室蘭の話を一切しないのだ。それにもまた自分のルーツを否定されたように感じてしまうアスカは、ある日小遣いを叩いて室蘭に母のルーツを探す旅に出る。そこで待っていたのは鉱物の精霊たちとともに過去をめぐる不思議な旅だった。
格付:A

SとF 作:イトウシンタロウ(青春アドベンチャー)

高校1年生の僕、藤本聡は恋をした。同じSF研究部の先輩、鈴宮富美加さんに近寄っただけで、胸は高鳴り頬は上気する。世界の見え方が変わったんだ。これが恋でなくてなんだというのだ。「いや、違うよ。」でも富美加先輩はそう言った。「君が今、私に対している気持ちは恋愛感情ではないと思う。」そして確かに僕の周りの世界も変わったのだけど、それは思っていたのとは少し違ったんだ。
格付:A

ロゼットの朝 作:飯野陽子(FMシアター)

3人だけの職場、社史編纂係。役職から外れ子会社への出向という身分。職場も東京から高速で1時間ほどかかる旧物流倉庫内のプレハブ事務所。つまり左遷だ。しかし仕事は仕事。どんな仕事でもきちんと成果を出さないといけない。この2人とともに。
格付:A

あたふたオペラ きんつば姫とリゴレ糖 作:萩田頌豊与(青春アドベンチャー)

江戸の和菓子屋・富嶺堂(ふれいどう)の若旦那は店の唯一の商品である「きんつば」の売れ行きを占うために占い師のもとを訪れる。占い師の指示により、怪しい甘味料・リゴレ糖をきんつばの原料に使うとともに、きんつばを宣伝してもらうために人気芸妓・美折太夫(びおれたゆう)のもとを訪れる富嶺堂の若旦那。しかし、美折太夫はすでに別の和菓子屋・鳥羽万の宣伝担当であり、自分の店「吉原」に鳥羽万の最中を供していたのだ。
格付:A

バスタイム 作:中澤香織(FMシアター)

中学の頃、好きなものの話が長くてしつこいと言われた。だからなんなん?ってイラっとされた。そんな私だから高校に入学しても親しい友人はできなかった。でも東京から来た転校生、深瀬さんは突然話しかけてきたのだ。「森さんのお家って銭湯なの?かっこいいね!」すぐに親友になった私達。あたしの言うことに笑ってくれる人は初めてだった。人に秘密を打ち明けられるのも初めてだった。心地いい関係。でも2年の夏に少し変化が生じたのだ。
格付:A

琥珀(こはく)のひと 作:新井まさみ(FMシアター)

極寒の奥日光にもまた春がやってくる。ただ、このあたりには観光するものはなにもない。地元の人間ですらめったに通らない山道を若い女性が歩いているのはやはり不審だ。そう考えてモーリーこと矢部吉森は彼女に声を掛けたが、彼女は自分に会いに来たという。確かに国産メープルシロップは珍しい。ふもとで聞けばこの山に行けば会えると言われるのも確かだろう。しかし、若い女性がメープルシロップの製造現場を見るためだけに、老人がひとりで暮らす雪深い山中まで来るものだろうか。
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