10人のシンデレラ パートⅢ 作:湯本香樹実(カフェテラスのふたり)
「シンデレラ」といえば、今ではすっかりディズニーアニメがイメージされる訳ですが、もともとは世界中に類似の話が伝わっている民間伝承なのだそうです。その範囲はとてつもなく広く深く、西欧のみならず中国にも類似の話があり、古くは紀元前1世紀にギリシアの歴史家ストラボンが記録したエジプトが舞台の話にまで遡るとか。どの話も継母や義姉にいじめられたり、王子や王様に見初められたり、何かの道具を切っ掛けに幸せになったりといった基本的な構造は同じです。そして、17世紀にフランスの文学者シャルル・ペローが、「ガラスの靴」や「かぼちゃの馬車」といった要素を取り入れたものが、ディズニーのシンデレラの原型になりました。この話に、これほど広汎な人々に受け入れられるに値する如何なる普遍的な価値があったのか、また、出所がひとつだとするとどのように伝播したのか、興味は尽きないところです。