手をつないだまま さくらんぼの館で 原作:令丈ヒロ子(青春アドベンチャー)
僕、学生作家のモドリ野颯太(もどりの・さった)は、入院した遠縁のおばあさんに代わって白桜館(はくおうかん)なる洋館を住み込みで管理することになった。
洋館と言っても木造2階建ての小さなもの。
大学休学中という暇な身にとっては、管理などお手のものだ。
そもそも、リア充高校生を主人公にしたお手軽な青春小説がいつまでも売れ続けるとは思えず、大学を休学して本格的に執筆に専念したいと思っていたところだったのだから、学生作家の身には不相応な平穏な執筆環境を手に入れられると思えば大歓迎、むしろ渡りに舟、まさに夢のような話だ。
でも平穏な生活は長くは続かなかった。
ある日突然、家原りりな(いえはら・りりな)と名乗る10歳の少女が現れたのだ。
彼女がいうには、りりなはおばあさんの孫で、そのおばあさんに白桜館に住むように言われたのだから、同じようにおばあさんから館の管理を任された颯大にはりりなを世話する義務がある、らしいのだが…