昼も夜も彷徨え 原作:中村小夜(青春アドベンチャー)
12世紀。ヨーロッパ・イベリア半島にイスラム教徒が跋扈し、中東・エルサレムを十字軍という狂気が支配していた時代。2大宗教の圧迫が強まる中、ユダヤ教徒はその内部でも独善的なラビ(宗教指導者)による排他的な指導体制を敷いていた。そんな時代にひとりの若いユダヤ人神学者がラビたちの独善的な主張に異を唱える。イスラム教の信仰告白をしてでも生き延びるべきだ。しかし、彼自身は違う道を選ぶ。自由だけは手放せない。だからそれ以外の全てを手放して逃げる。逃げて己の信条が守れる場所を探して昼も夜も彷徨い続ける。風のように彷徨い続けるその生き方こそ彼の精神の姿そのものだった。