2017-09

格付:B

すやまたけし短編集「帆船の森」より (サウンド夢工房)

すやまたけしさんは、雑誌「詩とメルヘン」にて、同誌の名を冠した賞を受賞して本格デビューされたメルヘン作家さんです。Amazonで検索すると、「火星の砂時計」(1987年12月)、「ナーガラ町の物語」(1988年10月)、「帆船の森」(1990年1月)の3作品が出てきますが、いずれも絶版のようです。ちなみに、すやまたけしさんご自身も2011年に亡くなられているようです…時間の流れを感じますね。
格付:AA

無頼船長トラップ 原作:ブライアン・キャリスン(FMアドベンチャー)

一体、ジェームズ提督はなにを考えているのだ。2800回もドイツ軍からの空襲を受けた孤立無援の島・マルタ。最近ではろくな物資も入ってこないこのマルタと北アフリカの間を、非武装で、レーダーも無線も持たず、しかも機雷の情報もなしに1年2カ月も往復を続けた船がいるというのか?しかもトラップなる無頼漢が率いるその船はドイツアフリカ軍団の横流し物資で闇商売をしてきた旧式の小型貨物船だというのだ。そんなことはありえないはずではないか。しかし、一番信じられないのはそのことではない。なんと提督は、ようやく拿捕したそのボロ船をそのまま英国海軍に編入し、北アフリカのドイツ・ロンメル軍団の補給路を断ち切る任務に就かせろというのだ。しかもその責任者として、この私、ミラー大尉を任命するというのだ。
格付:AAA

また、桜の国で 原作:須賀しのぶ(青春アドベンチャー)

中学を卒業後に外務省の留学生試験に合格してから早10年。1938年、日本の外務書記生・棚倉慎(たなくら・まこと)はベルリンからワルシャワへと向かう列車の車上にいた。先の大戦で傷つき、疲れ果てた欧州。欧州中のすべての人々が平和を渇望しているはずだった。しかしこのポーランドを覆う暗い影は何なのだ。歴史上幾度も他国に侵略され国土を失ってきたポーランドはまた何かに怯えているかのようだ。何かとは?それは領土的な野心を隠そうとしない隣国・ナチスドイツなのか。それとも平和のためなら小国の滅亡にすら目をつぶろうという大国の無関心なのか。いくつもの価値観の間で押しつぶされるポーランドの人々。自身、日本とロシアという二つのアイデンティティの狭間に立つ慎は、この踏みにじられ、引き裂かれた国で何を目にするのか。
格付:AA

夕凪の街 桜の国 原作:こうの史代(FMシアター)

ぜんたい この街の人は不自然だ誰もあの事を言わないいまだにわけがわからないのだわかっているのは「死ねばいい」と誰かに思われたということ思われたのに生き延びているということそしていちばん怖いのはあれ以来本当にそう思われても仕方のない人間に自分がなってしまったことに自分で時々気づいてしまうことだ
格付:AA

東の国よ! 作:福田義之(FMシアター)

1929年、日本の女性研究者は、イギリスの片田舎でようやくアーノルド・モロウを探し当てた。アーノルド・モロウ。文久2年に通訳として日本に来て以来、類まれな語学力と未知の世界に対する強い好奇心、そしてあくなき情熱で、明治維新の時代を日本人とともに駆け抜けた男。彼の残した回顧録「いちヨーロッパ人の見た明治日本の変革」は、明治維新前後の日本を知るための第一級の資料とされている。しかし、彼の回顧録には、ある重大な欠落がある。鳥羽伏見の戦い前後の記録が混乱し、間違いも散見されるのだ。これはモロウが意識的に行ったことではないか。記録に残せない、あるいは残したくない、何かがあったのではないか。すっかり年老いて反応も薄くなっているモロウの前で、研究者は自らが知る当時の時代背景を語り始める。彼の証言を得るために。
格付:B

不思議の国のヒロコの不思議 原作:谷山浩子(FMシアター)

どうしてもあと1曲。あと1曲が出来ない!新しいLPの録音まで、もう時間がない。曲が出来なければ折角集まってもらったバンドメンバーと練習も出来ない。もう逃げ出したい!あれ?あんなところに大きな木の扉が?あんなもの、あったかしら?なんでもいい。あの扉から逃げ出してしまおう。扉の先にいたのは金髪の少女。少女はこう言ったの。「あなたは標本よ、あなたは死んで剥製になったの。ここは地球博物館だから。」
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