肥後の石工 原作:今西祐行(アドベンチャーロード)
天保10年(1839年)秋深く。石工頭、岩永三五郎は薩摩藩に依頼された石橋を無事に完成させ、故郷・肥後への帰途にあった。しかし、事件は工事が終わってから始まった。ひたひたと追跡してくる怪しい影。自分は命を狙われているのか。心当たりは…ある。完成させた橋には中央の石をひとつ取り外すだけで簡単に崩壊させることができる特殊な仕掛けを施してある。当然、戦になった場合を想定してのものだ。追っ手を差し向けたのは秘密を守りたい薩摩藩か。死にたくない。しかし道を外れ山を越えて一安心したのもつかの間、追跡してきた侍は大胆にも直接、宿の部屋に三五郎を訪ねてきた。覚悟を決めるしかないのか。