金春屋ゴメス 原作:西條奈加(青春アドベンチャー)
21世紀初頭、北関東に金持ちが道楽でつくった老人タウン。それが全ての始まりだった。江戸時代を模したその街はロハスな風潮を受けて急速に人気が高まり、21世紀中頃には人口700万人を要する独立国「江戸国」として日本から独立を果たしてしまった。人々が江戸時代と同じ文化・風俗で暮らす江戸国はまた、江戸時代と同様に鎖国を続けている国でもあった。そのため、隣国日本からでさえも、江戸国へ入国するのは容易なことではない。しかし、日本の大学生・辰次郎(しんじろう)は1回の申請であっさりと入国を許可される。辰次郎の入国の目的は、余命幾ばくもない父の代わりに父の思い出の地に行くこと。辰次郎の父は以前、江戸国に住んでいたことがあるのだ。しかし江戸国に入国した辰次郎は自分自身も江戸国の生まれであることを知る。実は辰次郎には小学校入学以前の記憶が全くないのだ。辰次郎にはなぜ記憶がないのか...そもそもなぜこんなに容易に江戸国に入国できたのか...辰次郎の江戸入りには辰次郎自身も知らない真の目的があったのだ。