ジュラシック・パーク 原作:マイクル・クライトン(青春アドベンチャー)
それは目を疑う光景だった。
アパトサウルス。ジュラ紀後期に繁栄した巨大な草食恐竜。
アラン・グラント博士がイスラ・ヌブラル島なる絶海の孤島で目にしたのは、まさに古生物学者として長年夢に見てきた景色だった。
長年夢に見てきたが、決して実現されるはずはなかった光景。
生きた恐竜が目の前を歩いているのだ。
ジュラシック・パーク。
それは拝金主義とロマンチシズムが渾然一体となった狂気の実業家ジョン・ハモンドが、最新の遺伝子工学と膨大な費用をつぎ込んで地上に現出せしめた奇跡のテーマパーク。
生きている恐竜をこの目で見ることができる。
こんな素晴らしいことが他にあるであろうか。
そう、パークの成功は約束されていたはずであった。
しかし、最新のテクノロジーが惜しげもなく投入されたこのテーマパークは、開園前にすでに密かに数多くのバグと、いくつかの”事故”を起こしていた。
そしてこれらの綻びはパークを動かす複雑なシステムを狂わせ、やがて破局へとつながっていく…