- 作品 : ジャガーになった男
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : AAA
- 分類 : 歴史時代(海外)
- 初出 : 2001年3月5日~3月16日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 原作 : 佐藤賢一
- 脚色 : 谷登志雄
- 演出 : 保科義久
- 主演 : 緑川光
既に戦国の世は終わっていた。しかし寅吉は諦め切れない。
武士として生きる。剣で自分が生きた証を残す。
仙台伊達藩の武士・斉藤小平太寅吉は遣欧使節の一員として欧州に渡る。
辿り着いたスペインで、寅吉はスペインの「武士」イダルゴ達と出会う。
遣欧使節を出奔し、イダルゴ達とともに奥州ならぬ欧州で戦いに生きる寅吉、いや名前を改めミゲル・トラキチ・サイトウ・アッチラ。
転戦の末、トラキチの戦いは意外な結末を迎える。
17世紀の世界を駆け抜けた奥州武士・寅吉の数奇な運命を描く。
原作者の佐藤賢一さんは中世フランスを舞台に王妃の離婚裁判を描いた「王妃の離婚」で直木賞を受賞された作家です。
この直木賞受賞作を含めて佐藤さんの小説の大半は古代から近世までのフランスを舞台にした歴史小説です。
西洋の歴史小説というと時代背景を知らない日本人にはとっつきにくいと思われがちですが、佐藤さんの作品はきちんとした歴史を踏まえつつもエンターテイメントに徹した内容になっており、十分楽しめる内容です。
ちなみに、背景を知りたい方は佐藤さん自ら新書で大変わかり安い時代背景の解説本を出しています。
なぜか舞台はフランスではない
というわけでフランス歴史小説作家として知られている佐藤さんですが、本作は佐藤さんがまだフランス歴史小説家という地位を確立する前の作品で、舞台はフランスではなく、中世の「日本」+「スペイン」+αという、とても新鮮な組み合わせです。
舞台設定だけではなく、文体も後の佐藤さん独特の色はまだ薄いと思います。
駆け出し作家の勢いある作品
また、他の初期の作品でもあっと驚く展開をすることが多かった作家さんですが、「ジャガーになった男」というタイトルにつながる終盤の急展開は、奇抜というか荒唐無稽というか、とにかく荒削りで少し唐突な感じを受けました。
しかし初期の作品ならではの脱線するほど熱のこもった話作りで、単純に楽しめて読後感の良い作品だと思います。
ラジオドラマとしても原作の魅力を損なうことなく、上手くまとめていると思います。
主演の緑川光さん(本作のほか「魔女たちのたそがれ」にも主演)ほか、皆さん熱のこもった演技ですし、キートン山田さんの少しとぼけたナレーションも味のあるものになっており、中々の快作だと思います。
佐藤賢一作品を是非もっと!
ちなみに本作のジャンルは、アクションが前面に出ていてフィクション色が特に強いので「活劇」にしようかとも思いましたが、実際の歴史を背景にしているので「歴史時代」としました(ジャンルの定義はこちら)。
ジャガーになった男も良いのですが、佐藤さんには他にも大好きな作品がいくつもあります。
10話×15分の枠には収まりそうもない作品が多いのが難点ですが、青春アドベンチャーに向く作品もあると思いますので、改めて別の記事で書きたいと思います。
【保科義久さん演出の他の作品】
紹介作品数が多いため、専用の記事を設けています。
名作、迷作、様々取りそろっています。
こちらを是非、ご覧ください。
コメント
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脚本家も演出家も名前、間違えていますよ。
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> 脚本家も演出家も名前、間違えていますよ。
ありゃ?そのとおりですね。
直前のおいこーのコンビになっていました。
修正しておきます。
ありがとうございます。
脚色:佐藤ひろみ→谷登志雄
演出:千葉守→保科義久