
少年H 原作:妹尾河童(青春アドベンチャー)
昭和12年。神戸の街で仕立屋をしている妹尾家の男の子・肇(はじめ)は、背中に大きく“H”と編み込まれたセーターを着ていたことから、“H”というあだ名で呼ばれている少年である。Hこと肇は、体が小さく兵隊に取られずに済んだ父親と、信心深いクリスチャンの母親、そして妹との4人で平穏に暮らしていたが、周囲は徐々に戦時色が強くなり、思想統制や赤紙による招集の影がちらついてきた。もともと外国人が多く、どこの国の人とも分け隔てなく接してきた神戸も、徐々に雰囲気が変わりつつある。そんな時期であっても、少年Hの周囲には変わった大人達が一杯で、世界には新しい発見が満ちている。戦時中の日本、“銃後”の日常生活を、逞しく過ごす少年の物語。