- 作品 : エドモンたちの島
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : SF(日本)
- 分類 : B+
- 初出 : 2002年1月28日~2月15日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 作 : 福田卓郎
- 演出 : 吉田努
- 主演 : 大内厚雄
大学で民俗学を学ぶ椎名淳之介は、研究室の教授の指示で、瀬戸内海に浮かぶ御名月島(みなづきじま)へと出かける。
御名月島で年に1度行われる「千姫祭」で、教授の代理として講演を行うためだ。
千姫とは戦国時代にこの地で勢力を持っていた内海水軍(うつみすいぐん)を率いた伝説の女性である。
御名月島は内海水軍の財宝の隠し場所といわれ、島には千姫だけでなく浦島太郎など多くの伝承が残っているという。
民俗学のフィールドワークの舞台としてはまさにうってつけの場所だ。
椎名は、島に渡る船中で出会った女性・樋口愛子とともに、講演そっちのけで島の伝説を探っていくが、その過程でいくつかの奇妙な事件に巻き込まれていく。
そして、この島にいたという「エドモン」(=江戸時代の者)と呼ばれる不思議な人々のことを耳にする。
劇団Dotoo!(ドトォ!)代表の福田卓郎さん作のラジオドラマです。
福田さんは、「くたばれ!ビジネスボーグ」、「アドリア海の復讐」、「リプレイ」など原作付きの作品を中心としていくつかの青春アドベンチャー作品を担当されています。
その中で本作品1作だけが、ラジオドラマ向けに書き下ろされたオリジナル脚本の青春アドベンチャーだと思っていたのですが…
舞台脚本が元?
よく調べてみると、どうも本作品は完全なオリジナルのラジオドラマではないようです。
もともと演劇用の脚本として「オイル089」というコメディーSFがあり、これの設定を変更して瀬戸内の島が舞台の奇譚にしたものが本作品「エドモンたちの島」なのだそうです。
しかも現在ではこの舞台版とラジオ版を融合した新しい舞台劇「おいないさん」ができているそうです。
(外部リンク)http://stage.corich.jp/stage_detail.php?stage_main_id=846
ラジオオリジナル
こうした舞台脚本を原案とした作品としては他に2013年放送の「泥の子と狭い家の物語」(オカモト國ヒコさん作)があります。
とはいえ、両作品とも舞台用のオリジナル作品とは設定や展開が異なるようですので、本ブログでは舞台用脚本を原作としてラジオドラマ化した作品ではなく、あくまでオリジナルのラジオドラマの扱いにしたいと思います。
有名な村上水軍
ちなみに作品中で取り上げられている内海水軍は、実在した水軍集団で、かの有名な「村上水軍」の一派のようです。
劇団Dotoo!のブログに掲載されていたリレー小説でも、内海水軍と千姫の話がでてきており、詳細は分かりませんが、劇団Dotoo!とは縁の深いテーマなのかも知れません。
(外部リンク)http://dotoo.jugem.cc/?eid=556
浦島太郎+水軍伝説=エドモン?
さて、本作品は普通の民俗学者(の卵)である椎名が、御名月島で体験する不思議な事件を巡る物語です。
島の伝承に興味を持った椎名は、ある人物の秘密の会話を聞いてしまったことから、浦島太郎伝説について、従来一般的に考えられていた学説(浦島太郎は外国に流された人物であり、竜宮城は外国の暗喩)とは異なる、独自の説を思いつきます。
この浦島太郎伝説の探求と内海水軍の財宝探しが絡まり、島の人間と外から来た人間の双方を巻き込んだ騒動が始まります。
果たして「エドモン」は今でも存在しているのか、存在しているとして作中の誰がエドモンなのか、そして内海水軍の隠し財宝は実在するのか。
これらの謎が終盤に解き明かされることになります。
これ以上は聴いてのお楽しみということで。
アクセントは前
ちなみに、本作品、公式ホームページは「ハートウォーミングSF伝奇ドラマ」と紹介されています。
本ブログの分類上は「SF(日本)」にするか「幻想(日本)」にするか迷うところですが、ある1点を除いて「エドモン」は普通の人間であり、いわゆる超常現象として扱われていないことから、ギリギリでSF系と判断しました。
また、「エドモン」はアクセントは、最初の「エ」にきますので、まるで欧米人の名前のようなアクセントで読みます。
熊本県の公式キャラクター「くまモン」と同じですね。
出演者紹介
主役の淳之介役は演劇集団キャラメルボックスの大内厚雄さんです。
最近では「月蝕島の魔物」のシリーズ(2012年~2017年放送、いわゆる「ヴィクトリア朝怪奇冒険譚」)で10年ぶりに青春アドベンチャーに登場されました。
また、ヒロインの愛子役は桜岡あつこさん。
福田さん同様に劇団Dotoo!に所属する女優さんです。
その他、本作品と同じ吉田努さんが演出されている傑作「DIiVE!!」で、夏陽子コーチを熱演された中野若葉さん、やベテランの八木光生さんがご出演されているのも嬉しいところです。
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