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柳瀬裕子の”危険な逃亡者” (カフェテラスのふたり)

  • 作品 : 柳瀬裕子の”危険な逃亡者”
  • 番組 : カフェテラスのふたり
  • 格付 : B
  • 分類 : サスペンス
  • 初出 : 1986年1月20日~1月24日
  • 回数 : 全5回(各回10分)
  • 作  : 柳瀬裕子
  • 演出 : (不明)
  • 主演 : 岩城明子

私、松尾加奈子は東京の花の女子大3年生。
福岡に帰省するために乗った新幹線ですごく不審なおじさんに出会ったの。
ずっと貧乏ゆすりをしていると思ったら顔は真っ青。ぶるぶる震えているみたい。
サングラスを掛けて変な鞄を抱え込んで周りをしきりに気にしている。
挙げ句の果てには「彼らの手に渡ったら大変だ」ですって?
平和すぎる毎日に突然降って湧いたわくわくする事件!
サスペンスのヒロイン気分でおじさんにつきまとい始めた私だけど…


本作品「柳瀬裕子の”危険な逃亡者”」は1986年にNHK-FM「カフェテラスのふたり」で放送されたラジオドラマ…なのですが、これ以上の本作品の来歴はほとんど分からないのです。

オリジナル?

「危険な逃亡者」というタイトルの小説が見つからないこと、ネットで検索すると柳瀬裕子さんという方が脚本の仕事をされていた痕跡が見つかることから、恐らく本作品は柳瀬さんの手によるオリジナル脚本をもとにしたラジオドラマなのだと思います。
しかし、本放送中にスタッフ紹介がろくになく今となっては確認のしようがありません。
上記の粗筋に使った「松尾加奈子」という漢字も漢字仮名変換ソフトが勝手に変換しただけで完全な推測です(恐らく過去「カナコと加奈子のやり直し」の記事を書いているからこの字が変換されたのだと思います)。
ついでにいうと主演をしている岩城明子さんについてもよくわからない。
本作品、NHK福岡局の制作なのでひょっとしたら福岡の方なのかも知れません。
相手役の俳優、磯部勉さんはNHK-FMのラジオドラマの常連なのですけどね。

お気楽女子大生がサスペンスのヒロインに?

と言うわけでは事前情報のまったくない本作品ですが、これくらい何もないと却って作品を純粋に楽しめるというもの。
色々な意味で先の読めない展開を純粋に楽しんで聞くことができました。
何せ主人公が日常生活に退屈しているお気楽な女子大生で、トラブルに自分から頭を突っ込んでいく状況ですので、ストーリーは終始軽いノリで進んでいきます。

ところが意外にも…

そして途中に生じる多少の緊張感のある展開もあまり大きな事態につながらず、「危険な逃亡者」というタイトルを裏切るような展開が続きます。
また、作品の主な舞台は福岡県で、ダイナミックに状況が変わることもありません。
そもそも10分×5回という短い作品ですので、大冒険にはなりようがないのです。
本ブログで過去に紹介した作品でいうと「アイム・アン・エンジェル」や「トゥー・ラブ・アゲイン~若き文学者たち」、「魚の恋の物語」、「いつも誰かが…」などにも通じる、お手軽なライトノベルあるいは少女小説的作品。
適度な冒険と適度な恋物語が挟まって、明るい大団円に辿り着く予定調和の展開…と思ったのですが、最後の最後だけは少し予想を裏切る結末でした。
どのように予想を裏切るのかは聞いてのお楽しみでしょう。

Hirokazu

オーディオドラマの世界へようこそ!

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