春麻呂の夢 作:相良敦子(特集オーディオドラマ)
天平の時代。今の京都、木津川のほとりでは新しい都の造営が始まっていた。後に恭仁京(くにきょう)と呼ばれることになるその都は、平城京で起こった様々な悪しき事による祟りを恐れて遷都するためのものだが、貧しい庶民にとっては生活を圧迫するものでしかなかった。その造営の普請場に春麻呂という少年がいた。親方にこき使われる毎日に反発の気持ちを強めて春麻呂だが、ある日、鳥の糞と共に堕ちてきた一枚のお札のようなものを入手する。驚くべきことにそのお札はしゃべることができたのだ。