天保北越雪譜異聞 作:小林克彰(FMシアター)

格付:B
  • 作品 : 天保北越雪譜異聞
  • 番組 : FMシアター
  • 格付 : B+
  • 分類 : 歴史時代(日本)
  • 初出 : 2014年12月20日
  • 回数 : 全1回(50分)
  • 作  : 小林克彰
  • 音楽 : 徳永洋明
  • 演出 : 藤井靖
  • 主演 : 山路和弘

銀座で煙草道具屋を営む相四郎は山東京山(さんとう・きょうざん)のペンネームを持つ戯作作家でもある。
浮世絵師であり大作家でもあった山東京伝(さんとう・きょうでん)の弟だが、流行作家としては兄に比肩すること叶わず、有り体にいって鳴かず飛ばず。
なんとか作家として名を残そうと考えた相四郎は、越後塩沢の縮緬問屋、鈴木儀三治がかつて兄のもとに持ち込んだノンフェクション文学『北越雪譜』(ほくえつせっぷ)のことを思い出した。
江戸の人たちには思いもよらない豪雪地帯の生活を克明に描いたこの作品であれば必ずヒットするはず。これの編者、あわよく作者として歴史に名を残せないものか。
しかし『北越雪譜』の原稿は今や流行作家である曲亭馬琴が預かっている。
彼とは因縁浅からぬ中なのだが…


本作品「天保北越雪譜異聞」は主にラジオ向きに時代物の脚本を提供することが多い小林克彰さんの手によるオリジナル脚本によるオーディオドラマです。
本ブログにて小林さんの関わった作品を紹介するのは10作品目なのですが、このうち日本の戦国時代・江戸時代を舞台とした作品が8作品を占め、例外はヴィクトリア朝のイギリスを舞台とした「髑髏城の花嫁」と現代日本が舞台の「冷蔵庫の伝言」(「家電の極意」の中の1話)だけ。
なかなか徹底しています。

山東京山?誰?

さて本作品は山路和弘さんが演じる山東京山なる戯作者が主人公。
「山東京山?誰?山東京伝なら聞いたことがあるけど…」というのが大体の方の感想ではないでしょうか。
でも実在の人物で「北越雪譜」の出版に関わったのも史実なのだそうです。
それどころか、山東京伝、曲亭馬琴が計画をしたものの実現せず最終的に山東京山が出版にこぎつけたことや、馬琴が預かった原稿を返却しなかったことなども事実とのこと(wikipedia情報)。
本作品はこういった史実を軸に少しコミカルに味付けして気持ちの良いフィクションに仕立てています。
作家としてはいまいちパッとしなかった山東京山(相四郎)ですので、実際のこのくらいのドタバタはあってもおかしくないと思える作品でした。

北越雪譜とは?

ところで、肝心の『北越雪譜』の内容がわからないと残念ですので少し補足します。
『北越雪譜』は「雪の結晶のスケッチ(『雪華図説』からの引用)から雪国の風俗・暮らし・方言・産業・奇譚まで雪国の諸相が、豊富な挿絵も交えて多角的かつ詳細に記されており、雪国百科事典ともいうべき資料的価値」(wikipedia)とのこと。
珍しもの好きの江戸の庶民たちに受けて700部を超える(当時として)大ベストセラーになったのだそうです。

主演は山路和弘さん

さて本作品で相四郎こと山東京山を演じるのは俳優・声優の山路和弘さん。
同じように声優としても活動する朴璐美さんの旦那さんであり、声優としては渋い親父や悪役で有名ですが、NHK-FMのオーディオドラマでは「冬の曳航」が印象的。
他にも「魔岩伝説」、「白狐魔記 天草の霧」など江戸時代ものに出演が多い印象です。
また、他にも平田広明さん、石田圭祐さんなど声優として「も」活動するベテランの俳優さんの演技も聞き所です。


■約260年に及ぶ江戸時代
当ブログで紹介した江戸時代を舞台にした作品が、細かく見るとどの時代設定を背景としているのか?
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