百八つの人助け 作:鈴木絵麻(FMシアター)
人前で話すことが極端に苦手なコウヘイがこのゼミを選んだのは、レポートさえ提出すれば単位がもらえると聞いたからだ。
しかしゼミで一言も話さなかったコウヘイに対して教授は単位取得のために条件を付けてきた。
それは、余命1カ月だと思い込んでいる親戚のお嬢さん(いとこの娘)に、病気になんてかかっていないことを理解させること。
ゼミとは何の関係もないではないか!パワハラだ!アカハラだ!…という思いはあれど、就職のためにグッとこらえることにしたコウヘイだったが、彼の目の前に現れた「お嬢さん」はなんと40過ぎの中年女性だった。
しかも彼女はコウヘイに向かって即座に言い放ったのだ。
「グズグズしている暇はありません。さあ始めましょう!」
あの~何を?
「人助けです!」