レディ・トラベラー1920 作:小林雄次(青春アドベンチャー)
冒険家として世界を渡り歩いた叔母のバーバラ・マーキュリーは他界から1年たった今でもジュリーのアイドルだ。
大英博物館でアシスタントキュレーター(学芸員)をしているのも叔母をリスペクトすればこそだ。
だけどジュリーの本当の夢はキュレーターではない。
伯母と同じようにジャングルを旅し、川でヒルに血を吸われ、凶暴なワニと戦い、人肉を食べる恐ろしい部族とも交流すること。保護者である叔父は許してくれないけど。
でもジュリーは見つけてしまったのだ、叔母の残した手記を。
そこには叔母がオランダ領東インドにあるジャクラ島で体験した「私の生涯、最も印象深い旅」について書かれていた。
巨大な翼、真っ赤に光る目、鋭い牙、長いしっぽ、見上げるような巨体をもつ、伝説に言うドラゴンそのものの怪物に出会ったというのだ。