当面の間、変身します 作:櫻井智也ほか(青春アドベンチャー)

格付:B
  • 作品 : 当面の間、変身します
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : B
  • 分類 : 下表のとおり
  • 初出 : 2021年3月29日~4月2日
  • 回数 : 全5回(各回15分)
  • 作  : 下表のとおり
  • 演出 : 松浦禎久
  • 主演 : 渡部豪太ほか

本作品「当面の間、変身します」は、「変身」をテーマにした脚本家競作のオムニバスラジオドラマで、1回15分、全5話で放送されました。

シリーズではないオムニバス

テーマ(お題)だけ与えられて、あとは脚本家が自由に創作するタイプの作品は青春アドベンチャーでは従来より一定割合制作されています。
こうした作品は「不思議屋シリーズ」、「ライフシリーズ」などタイトルにも統一性を持たせることが多いのですが、本作品は完全に独立した作品です。
ちなみに同じ2021年に放送されたオムニバス「シンクホール」は舞台となる街を共通にさせている作品で、少し趣向が異なります。

各話概要

さて、それでは各話の概要をご紹介します。

◇第1話 「変身」


分類:幻想(日本/シリアス)、格付:C+


作:櫻井智也、主演:渡部豪太


ある朝、起きた私は甲虫になっていた。一家の生計を支えている私は仕事に行かなければならない。仕事…ムリだよなあ。


変身対象は「虫」。つまりカフカの「変身」第1章を現代日本に翻案にしたような内容。ここまでカフカな作品を放送する意味がよくわかない。ガンダムネタは面白かったが。

◇第2話 「檻(おり)よさらば」


分類:幻想(日本/シリアス)、格付:B+


作:石崎竜史、主演:祁答院雄貴


気付いたらライオンになっていた。気遣い人間の私には動物園のライオンを演じることもそれほど苦じゃない。しかしあの雌ライオンの攻撃的な態度はどうも気になる…


珍奇な設定だが主人公が自分の枠を超えようと努力する素直なストーリー。日本のライオンはみな動物園生まれでありサバンナは伝説の存在、というのは面白い。

◇第3話 「俺、妊夫です」


分類:幻想(日本/シリアス)、格付:B-


作:笹峯愛、主演:渡部豪太


妻に変わって妊娠した夫。妊婦がこんなにつらいものだったとは。出産は帝王切開になるそうだけど、やはり怖いなあ。


妊婦になることを「変身」というのはやや苦しいか。内容は「男が妊娠する」という設定から想像されるそのまま。わかるけどもう少しひねりがあっても良いと思うが。

◇第4話 「雲雀(ひばり)の心」


分類:伝奇、格付:A+


作:堀越涼、主演:小市慢太郎


鷹狩で大切なのは主従をわきまえること。問題はどちらが「主」でどちらが「従」かだ。信じてもらえないかもしれないが若いころ俺は雲雀になったなったことがある。


本作品だけ、舞台が過去の日本(江戸時代?)。「蜩ノ記」にも出演されていた小市慢太郎さんの雰囲気のある演技が印象的。

◇第5話: あくがれの君


分類:恋愛、格付:B


作:イトウシンタロウ、主演:渡部豪太


「ある晩、目が覚めると私はあなたになっていました」。教師がかばんの底に見つけた手紙には不思議な物語が書かれていた。


教師と生徒の恋愛という話自体がちょっと気持ち悪い。そもそもちゃんと隠せていないし。「変身」というテーマなのに、このような作品を創作するチャレンジ精神は買う。

「変身」がテーマなだけあってファンタジックな作品が多いのですが、「不思議屋シリーズ」で多かったお花畑なふわふわファンタジーや、逆に名古屋脚本家競作シリーズで多いやたらと難解でスノッブな作品はなく、どの作品も比較的聴きやすい作品だったのは好感触でした。
なお、同じ「変身」モチーフの作品としては「カフェテラスのふたり」時代の「ハムスターになった男」も紹介しています。


◆シリーズ以外の競作オムニバス作品の一覧
不思議屋シリーズライフシリーズ10人作家シリーズだけじゃない!
シリーズもの以外の単発で制作された脚本家競作のオムニバス作品の一覧はこちらです。



コメント

タイトルとURLをコピーしました