
うつくしい靴 作:本山航大(特集オーディオドラマ)
どこかおかしいところがあるわけではない。あえていえばスニーカーにしてはタイトであることくらいか。しかしどうしても本物であるという確信が持てない。本物と断言できないのであれば店頭に並べるわけにはいかない。スニーカー専門店として信用にかかわる。そして店頭に出せないものを買い取ることはできない。なにせこれが本物のワッツだとしたら数百万円の値が付くものなのだ。しかしスニーカーヘッズ(マニア)である私は簡単に諦めることもできない。なにせワッツを手に入れられるチャンスなんて滅多にない。そして目の前にあるスニーカーは確かに美しい。そう革靴のような気品が漂っているのだ。仕方がない。かくなる上はこうするしかないだろう…