- 作品 : 先生、ワンと鳴く
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : A
- 分類 : スラップスティック
- 初出 : 0006年00月00日~00月00日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 作 : 保坂萌
- 演出 : 原英輔
- 主演 : 丹生明里
蒼井侑芽は25歳。少年漫画誌の編集者。
子供の頃大好きだった王道バトル漫画「トワイライトリベリオン」の作者、東雲まほろ(50歳)の担当になることができたものの、今の東雲はパンチラ漫画で食いつないでいる冴えない中年オヤジ。しかも筆が遅い。
一度も原稿を落としたことがないのが奇跡なほど毎回毎回、締め切り直前までグダグダ、うだうだ。
今回も締め切り突然に侑芽に電話をかけてきて言い放ったのだ。
「俺はもう人間を卒業します。今までお世話になりましたぁ。」
ちょっ!なにがあったんですか!?
「俺はね、今すぐ犬に生まれ変わるんだよ。本気だよ、パンツをはかない生き物にね。」
深夜までパンツパンツってなんなんだよ!
本作品「先生、ワンと鳴く」は演劇プロデュースユニット「ムシラセ」を主宰する演出家・脚本家、保坂萌さんのオリジナル脚本によるオーディオドラマです。
タイトルに工夫を
みなさんこの「先生、ワンと鳴く」というタイトルどう思います?
華がないというか、演劇臭いというか、FMシアターぽいというか…
エンタメ作品ってタイトルも重要だと思うのですが、なんか聞きたくなるようなキャッチーさはないですよね。正直「トワイライト・リベリオン」というタイトルの方が面白そう。
内容も地味そう
しかも内容も上記のとおり、日々もやもやと仕事をしている女性と、天才性を一切感じさせない中年漫画家がうだうだと悩むだけの話。
折角、漫画業界というドラマになりそうな世界を舞台にしているのに、「G戦場ヘヴンズドア」の様な触れれば切れるような緊張感のあるお仕事ものではなく。
第1回を聞いていたら漫画家が犬になるというファンタジー展開なのかと思えばそうでもなく。
一応コメディ方向の脚本なのですがすごく笑えるわけではなく、本ブログではジャンルを「スラップスティック」にしましたがアクションシーンもなく。
青春アドベンチャーに外連味のある派手なエンタメを求めている私としては残念な作品だと思っていたのですが…
独特な柔らかい雰囲気
いや、聞いていると意外と悪くないのです。
爆笑できるわけではないけどわりとほんわかした雰囲気が気持ちよい。
これにはなんといっても東雲まほろを演じた本多力さんの力が大きいように思います。
ちょっと俳優のムロツヨシさんに似た演技だなあと思って聞いていたのですが、実際お二人は交友があるそうです。
また主演の元日向坂46・丹生明里さんも、元アイドルでしかも演技経験が豊富ではないはずなのに意外と自然な演技。
というか凄く自然というのとも違うのですが、本作品の「蒼井侑芽」ってアイドルさんがやるいかにもヒロイン!という感じのフレッシュさが求められる役ではないことがかえって嵌っている感じ。
意外と多彩な出演陣
他にもスーパー戦隊シリーズ「魔進戦隊キラメイジャー」で主役の熱田充瑠(キラメイレッド)役でドラマ初出演した小宮璃央さんや、松田利冴さん・永塚拓馬さんの声優コンビ(2025年の青春アドベンチャーは「リフレイン -私とおじいちゃんの捜査ノート-」や「ナカスイ! -海なし県の水産高校-」など劇中劇のための声優起用は多かった気がする)、そしてなんとおばあちゃん役を演じた杉田かおるさん(もう61歳なんですな)など、それぞれバックボーンが違う方々があまり遊離することなく、この全体的にとぼけた雰囲気にうまくマッチしています。
あくまで感想ですが
通常、このような日常系ベースの作品のあまり良い格付けを付けない当ブログですが、不思議とあたたかい気持ちで応援したくなる作品でした。
ただまあ職業もの(漫画家もの・編集者もの)としても、若者の成長ものとしても、ドタバタ劇としても、コメディとしても、特に尖ったところがある作品ではないので、熱曲的支持する人もいないような気がします。
でも(繰り返しますが)嫌味のない気持ちのよい作品ですし、こういったサラッと聞ける作品があってもよいと思います。
タイトル回収?
なお本作品、最後の最後、タイトル回収的な終わり方をします。
具体的などんな回収かを説明してしまうとネタバレになってしまうので………というほどのものでもないか。

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