火喰鳥 羽州ぼろ鳶組 原作:今村翔吾(青春アドベンチャー)
藩が用意した支度金はわずか200両。火消組は維持するだけで年間1000両はかかる。しかも、実際に消火作業を行う鳶(とび)は定員を遙かに割り、補佐役は経験皆無の若造のみ。火消に欠くことのできない七つ道具すら満足に揃っていない。そんな新庄藩・火消組をわずか200両で再建せよと?「火喰鳥」と呼ばれ、江戸一番の火消と持て囃されたのは昔のこと。今の俺にそれができるだろうか。いや、もう一度、向き合うと決めたのだ。だからこそ、家老の前でこう宣言する。「火消として必ずや名を上げて見せましょう。2年、いえ1年と半で結構。ただし…」条件はただひとつ。「拙者のやりように一切の口出し無用に願います。」