- 作品 : 黄金海峡
- 番組 : アドベンチャーロード
- 格付 : AA-
- 分類 : 冒険(山岳海洋)
- 初出 : 1989年6月19日~6月30日
- 回数 : 全10回(各回15分)
- 原作 : 南里征典
- 脚色 : 津川泉
- 演出 : 竹内豊
- 主演 : 高橋長英
笛吹草介(うすい・そうすけ)は、サルベージ中の事故からの復帰を目指す国際的ダイバー。
しかし、リハビリのために投宿していた山陰のホテルの近く、海岸崖下の海底洞窟にアタックしたものの再び潜水病になってしまう。
恥じ入る草介だが、何かがおかしい。
思えばエアになにやら甘いにおいがあった気がする。
何か混入していたのではないか?これは事故ではないのではないか?
さらに草介のまわりで起こる様々な出来事。
崖沿いの瀟洒な別荘で起きた外国人男性と日本人女性の心中事件…
海岸沿いの村の住民が一夜にして忽然と消えた失踪事件…
そして同宿の女性の突然の記憶喪失…
この山陰の寒村に何かが起きている。
本作品「黄金海峡」は、主に1980年代に活躍されていた冒険小説作家・南里征典さんの初期冒険小説を原作とするラジオドラマです。
80年代のコテコテの冒険小説ですので、当然、バイオレンス&エロはアリです。
そういえば昔、この作家と同姓の友人がこの作家と同姓であることを結構恥ずかしがっていた覚えがあります。
気持ちがわからなくはないですが、イチ読者としては両要素ともアリです。
ただ、本作品はNHKでラジオドラマ化された作品ですので、濃厚な描写はなし、というかエロはほぼカットです。
ちょっと残念?
ちなみに南里征典さんの原作作品はもう1作、FMアドベンチャー時代に「密林よ熱き獣を誘え」(聞いたことがないんですよね~どこかで聴けないものでしょうか)が放送されているのですが、こちらもコテコテのタイトルですね。
黄金海峡とはどこか?
さて、「冒険小説」+「海」+「黄金」と来たからには、世界を股にかける大冒険になりそうな気がしませんか?
1984年、「FMアドベンチャー」時代に放送された「血と黄金」はそういう感じでしたしね。
でも本作品の舞台は日本、しかも山陰。
「黄金海峡」って対馬海峡なんですよ…
こりゃ地味~な感じになるのでは?と思いきや、さにあらず。
日本にもあるんですよ、「黄金伝説」が。
ずばり本作品のネタは「バルチック艦隊の財宝」!
バルチック艦隊といえば、日本では日本海海戦で東郷平八郎指揮下の連合艦隊にコテンパンに負けた?ロシアの艦隊として有名ですが、これが黄金を積んでいたという怪しい説が実際にあるわけです。
その額「4兆5000億円」(当作品内の表現による。当然1980年代の物価水準)!
さすがロマノフ王朝、太っ腹です。
全般に漂うB級感が最高!
当然これを巡って争奪戦が行われるわけですが、この辺は(何度も書きますが)コテコテの展開!
いくつもの勢力が登場(主人公からして二つの勢力に同時にアサインしかけるというコンプラ的に怪しい行動)し、複数の事件の謎解きが同時進行する。
もちろん「謎の女」も複数登場。
ヒロインを演じる山下容莉枝さんの役名なんて、「若い女」(当初名前が不明なため)からスタートして、次の回では役名がついたものの、更に次の回では役名が変わる(前回の役名は偽名であるため)という体たらく。
でもこのB級感がたまらないですよね。
NHK-FMのエンタメ帯ドラマ枠は1979年の「ふたりの部屋」の「銀河鉄道999」からスタートし現在の「青春アドベンチャー」に至るのですが、常に時代に寄り添った作品選択をしてきたと感じます。
1989年というバブルの頃に放送された作品には、余り深く考えずに楽しめる、こういったコテコテの冒険物こそ相応しいと思います。
宮本隆治アナの語り
さて、本作品の主人公・笛吹草介を演じるのは高橋長英さん。
伊丹十三監督の作品の常連だった俳優さんで実に渋いキャスト。
比較的最近で言うと2013年の「光」や2015年の「砂漠の王子とタンムズの樹」なんかにも出演されていますね。
その他は宮下順子さん、青砥洋さん、西田健さんといった方々。
そして本作品のキャストで特に印象的なのはナレータを務めているNHKアナウンサーの宮本隆治さん。
NHKでは数少ない芸能・音楽番組を中心として活躍された方ですが、改めて聞いてみるといい声ですねえ。
同時期、「暗殺のソロ」でナレーターを務めた広瀬修子さんといい、NHKアナウンサーの語り、とても素晴らしいです。
青春アドベンチャーでも是非NHKのアナウンサーを起用して欲しいです。
脚色は津川泉さん
また、脚色は津川泉さんがご担当されています。
「アドベンチャー系の番組」(FMアドベンチャー、アドベンチャーロード、青春アドベンチャー)では本作品のほか、「インベーダー・サマー」、「天体議会」、「プラチナプラチナ」などで脚色をされています。
コメント
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津川泉さんと木皿泉さんを混同しています。
妻の妻鹿年季子さんと共同ネームで執筆しているのは全く別の方。津川泉さんはほぼラジオドラマを中心にして脚本を書かれた方で、現在は日本放送作家協会理事です(←退職していなければ。確認はしていませんが)。
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優やんさん
ありゃ、本当ですね。
失礼しました。
修正しておきます。