- 作品 : 僕たちはもう帰りたい
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : B
- 分類 : 職業
- 初出 : 2019年10月14日~10月19日
- 回数 : 全5回(各回15分)
- 原作 : さわぐちけいすけ
- 脚色 : 藤井香織
- 音楽 : 内山修作
- 演出 : 小島史敬
- 主演 : 木野花
仕事がつらい。もう帰りたい…
そんなある日、帰り道で見かけたスナック。
その名は「もう帰りたい」。
なんだこの名前は?
でも気になる。
少し寄ってみるか。
本作品「僕たちはもう帰りたい」は、さわぐちけいすけさんによるエッセイ風マンガを原作とするラジオドラマで、NHK-FMの「青春アドベンチャー」で放送されました。
青春でもアドベンチャーでもない
この「青春アドベンチャー」、現在、NHKラジオに残った唯一の帯ドラマ枠であるからか、一応、エンタメ性の高い作品を選んではいるものの、取り扱う作品の範囲はかなり広いのですが、それにしてもこれほど「青春」でも「アドベンチャー」でもない作品を聴くのは久しぶりです。
以前放送された似たタイトルの「ぼくは勉強ができない」(1998年)あたりは今思えば随分と「青春」ではありました。
まあ、たまには良いのかもしれませんが。
各話の紹介
さて本作品は以下の5話からなるオムニバスドラマです。
とはいっても各話が完全に独立した話ではなく、ある作品の主人公が他の作品にも登場するというような形でかなり密接につながっており、特に第2話の主役の「水道橋さん」は第4話以外のすべての話に顔を出しています。
回 | タイトル | 主演 | 一言 |
---|---|---|---|
1 | お付き合い残業したくなくて、もう帰りたい | 石田法嗣 | 彼は本当に周りの人間が皆、残業したくてしていると思っていたのだろうか。 |
2 | 板挟みで、もう帰りたい | 森田望智 | もうやだと泣きだす女性と一緒に仕事をしたくはない。逆転の策も何だか幼稚だし。 |
3 | 無茶ぶりされて、もう帰りたい | 大西信満 | 「あなたは我慢強さだけが取り柄だと思っていた」って夫に面と向かって言う妻って? |
4 | あの頃の自分に、もう帰りたい | 映美くらら | この作品だけは「帰りたい場所」が実在しないパターン。 |
5 | 居場所がなくて、もう帰れない | 渡辺いっけい | 深刻そうなタイトルだが、そうでもなかった。一応、大団円? |
悪い話ではないのですが、基本的に何だかモヤモヤが残る内容でした。
そんな中で、最終話のラスト付近の全話の主人公たちが一堂に会するのはちょっと嬉しい趣向。
「ウォーターマン」ほど凝った作りではありませんが、いいですよね。こういうの。
全体の主演は木野花さん
さて、各話の主演格は上記のとおり話によって異なるのですが、公式HPのキャストの並び順を見ると、全体の主役は「スナック・もう帰りたい」のママを演じる木野花さんのよう。
1980年代の金鳥ゴンのCM「亭主元気で留守がいい」で一躍ブレイクされた?方ですが、もう71歳なんですな。
このママ、基本的に作品の案内役なのですが、各話の主人公たちにアドバイスする重要な役どころも兼ねており、趣向が似た「なぞタクシーにのって…」のヘンムレンさんや、「神南の母(ママ)の備忘録(メモワール)」の「神南の母」、「夢巻」のマスターと比較すると、ストーリーに絡んでいます。
渡辺いっけいさん凱旋出演
最後に出演者に関してもうひとつだけどうしても言及しておきたいのは渡辺いっけいさん。
もともと「劇団☆新幹線」の看板俳優で、テレビなどでもバイプレイヤーとしてよくお見かけする方ですが、実はまだあまりお茶の間にお名前が浸透していなかった1990年代、青春アドベンチャーの常連出演者でもありました。
「北壁の死闘」、「サンタクロースが歌ってくれた」、「くたばれ!ビジネスボーグ」、「ジュラシックパーク」、「悲しみの時計少女」、「五番目のサリー」など名作へも多数、出演されています。
2000年以降も、もうひとつのラジオドラマ枠であるFMシアターや特集オーディオドラマには時々出演されており、最近では2017年の「ピンザの島」に出演されていたのですが、青春アドベンチャーには久しぶりのご出演。
なお、この約2年半後の「ウブヒメ」で連続ものの主要キャストとしても久しぶりの出演を果たすことになります。
凱旋出演みたいで何だか嬉しいですね。
コメント