
シュレミールと小さな潜水艦 原作:斉藤洋(青春アドベンチャー)
私の名前はシュレミール。とある港町に住む白猫だ。普段はこの街の酒場で酔っぱらいの相手をしてやっている。頭の悪い人間達は私の言葉を理解できないが、私は人間の話していることが全て分かる。人間達によると、最近、この国は戦争を始めたらしい。そういえばこの前も軍艦がボロボロになって戻ってきた。馬鹿な話だ。しかし、ある日、桟橋に戻ってきた軍艦はちょっと奇妙な形をしていた。まるで鯨に煙突が付いたような不思議な形をした船体。色が真っ黒なのも鯨みたいだ。興味を引かれた私はちょっとこの船に飛び乗ってみた。そして思いもよらない大航海に乗り出すことになってしまった。しかし、後悔はしていない。この船、潜水艦「アルムフロッサー」は私と言葉を交わすことができる知能を持っていたし、しかもとても気持ちのいいやつだったからな。