ウブヒメ 作:今城文恵(青春アドベンチャー)
お江戸・浅草の裏長屋に住む5人の男女が、竹藪のあばら家に集まっていた。浪人の天野新右衛門、猿回しの音兵衛役、町奴(侠客)の権太、そしてやたらと目力のある武女(むめ)という少女。彼らが目論むのは権力者、柳沢出羽守保明の屋敷の焼き討ち。罪のない町人たちが磔や追放の憂き目にあう徳川綱吉の世を一刻も早く終焉させるのだ。由井正雪すらなし得なかった大事を目論む彼らにはある切り札があった。それこそが武女の持つ“産火(ウブヒ)”の力。正しい人間である自分が、悪いものを灰にするための力。私が火をつけてやる。