生老病死

格付:A

水を運ぶ 作:足立聡(FMシアター)

毎日、高速に乗って富士山へ向かう。病床の友人のところに水を運ぶためだ。いつかふたりでこの地に住みたいと言った。しかし別れた今、それは叶わない。いや、そもそも彼にもう時間は残されていない。それでも私は水を運ぶ。彼の恋人はそれをどう思っているのだろうか。
格付:A

手が冷たい 作:小松波瑠(FMシアター)

佐々木風子は道東・風蓮の漁師だ。この地で100年続いてきた伝統漁法・氷下待網漁(こおりしたまちあみりょう)を夫とふたりで続けてきた。しかし夫が他界した今、ひとりではとても続けることができない。そもそもこんな厳しい漁、どうして続けないといけないのだろう。娘が手をつないでくれないほど冷たい手になってまで。ああ、それにしても手が憎い。この冷たい手が憎い。
格付:B

ある暗号兵の告白 作:滝本祥生(FMシアター)

アルバイトにあまり多くを求められても困る。「市民健康だより」の取材の時だって実は怒られてばかりだったし、写真が笑顔だったのはたまたまに過ぎない。気難しい陶芸家・前田正太郎さんが気を許してくれたわけではないのだ。ましてや戦争体験の取材なんて受けてくれるとは思えない。でも私はアルバイト、やれと言われたらやらざるを得ない。ああ気が重い…
格付:A

琥珀(こはく)のひと 作:新井まさみ(FMシアター)

極寒の奥日光にもまた春がやってくる。ただ、このあたりには観光するものはなにもない。地元の人間ですらめったに通らない山道を若い女性が歩いているのはやはり不審だ。そう考えてモーリーこと矢部吉森は彼女に声を掛けたが、彼女は自分に会いに来たという。確かに国産メープルシロップは珍しい。ふもとで聞けばこの山に行けば会えると言われるのも確かだろう。しかし、若い女性がメープルシロップの製造現場を見るためだけに、老人がひとりで暮らす雪深い山中まで来るものだろうか。
格付:B

うらぼんえの帰還兵 作:中澤香織(FMシアター)

夏休みに家族で小田原のおばあちゃん家を訪ねるのは毎年の行事。でも今年はひとりだ。お母さんは用事で来られない。お父さんと話し合いをするから。それに今、お母さんは性格のキツイおばあちゃんと話す気力がないのだろう。ひとりで訪ねてきた私をおばあちゃんは早速、お墓参りに連れて行った。そこでわたしは墓に寺坂幸次郎という38歳で亡くなった人の名前を知る。おばあちゃんに聞くと、この人はおばあちゃんのお父さん、つまり私のひいおじいちゃんだという。ひいおじいちゃんは戦争から帰ってきた後、心を病み、その人生の大部分を精神病院で過ごしたらしい。そんな話は初めて聞いた。いるけど、いないみたいな透明人間にされてしまったひいおじいちゃんのこと、おばあちゃんは話したくないみたいだけど…
格付:B

遥かなり、ニュータウン 作:伊佐治弥生(FMシアター)

妻の七回忌に、42歳になる息子がわが家に帰ってきた。子どもたちと足並みを揃えるように成長していった夢の街。しかし今、この街に子どもたちの声はなく、戻ってきた息子もしょぼくれたおじさんになっていた…40年前、昭和40年代にニュータウンの一角に建てられたわが家で、父と息子の共同生活が始まる。
格付:AA

旅猫リポート 原作:有川浩(青春アドベンチャー)

僕の名前はナナ。6歳のオス猫だ。縁あってサトルのうちの猫になってから、もう随分と経った。サトルはいい飼い主だったし、僕だって結構いい猫だったと思う。サトルと暮らした毎日は楽しい思い出で一杯だ。でもそれもお終い。サトルが猫を飼えなくなってしまったんだ。でも暗くなっても仕方がない。新しい飼い主を探す旅、サトルと過ごす最後の旅を精一杯楽しまないとね。
格付:B

あなたがいる場所 原作:沢木耕太郎(青春アドベンチャー)

沢木耕太郎さんといえば「深夜特急」、「テロルの決算」、そして「一瞬の夏」。主にスポーツや旅をテーマにしたノンフェクション、ルポルタージュで有名な方ですが、本作品は沢木さんの初の短編小説集「あなたがいる場所」を原作としたラジオドラマです。
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