- 作品 : 私がホンマに好きなのは
- 番組 : FMシアター
- 格付 : B-
- 分類 : 日常
- 初出 : 2025年12月6日
- 回数 : 全1回(50分)
- 作 : 山村菜月
- 音楽 : 森悠也
- 演出 : 小島史敬
- 主演 : 東野絢香
いつも本心じゃないことを言ってお客様を騙している。
大阪のアパレルショップで働いているあかりはどうしてもそう思ってしまう。
店長は「憧れている人物像になったつもりで生活すれば自信も付くし、販売にも説得力が出てくる」というけれど、自分が好きでもないことをやってまでキラキラした女性を目指さないといけないのだろうか。
そんなある日、あかりは、学生時代からの友人である萌子から渡されたドラマCDから聞こえてくる声に一目ぼれならぬ、一声ぼれをしてしまう。
その声の持ち主は前園祐二という56歳のおじさん声優さんらしいのだが。

本作品「私がホンマに好きなのは」はNHK-FMのFMシアターで放送されたオーディオドラマです。
NHK公式ホームページに記載されているコピーは「周りを気にせんと、好きなことしたり言えたりする方がいいけど」なのですが、内容はまあそのとおりで、26歳にして突然、オタ趣味にはまってしまった女性が、キラキラした外面とその趣味との落差に悩む話です。
気持ちはよくわかる
誰しも、普通の人がちょっと引いてしまうようなディープな趣味や特殊な性癖のひとつやふたつは持っているものだと思います(私にとってはこのブログがそのひとつにあたります)。
これをどこまでカミングアウトするかはなかなか悩ましい問題です(実際、このブログのことを私の家族や職場の同僚はほとんど知りません)。
でもちょっと時代遅れ?
その意味ではとても普遍的なテーマの作品だとは思うのですが、正直なところ最近オタ趣味もそれなりに市民権を得ており、「オタク」という言葉ができたころの差別的、侮蔑的なニュアンスは随分と薄まったと感じます。
全部を否定はできない
確かにオシャレであることを当然に要求される世界では差別的な視線は今でも強いのかもしれません。
とはいえ、それはそれで理由もあると思うのです。
例えばアパレルショップなどは、お客さまはやはりその店の世界観を楽しみに来店している部分もあるはずです。
そのため、そういう場で雰囲気を壊すことはやはり無礼だと思います。
人間って多面的なものですから
ただ、それについては、複垢をうまく使い分けている今の若い人を見ると結構、上手にやっていると思います。
そういう意味でも切実感を出すためには例えばもう少し前の時代を舞台にした方がよかったのではないかなとは思いました。
出演者について
本作品で主役のあかりを演じたのは「うつくしい靴」での好演も記憶に新しい女優の東野絢香さん。
大阪出身ですので、本作でのネイティブな大阪弁はさすがですね。
ただ本作品のキャストで一番特筆すべきはやはり関俊彦さんでしょう。
本作品での第一声を聞いて「無惨様!」(鬼滅の刃)と思ったのは私だけではないと思います。
「鬼滅の刃」は敵役である鬼側にベテラン声優を配しているのが特徴なのですが、その総大将である鬼舞辻無惨を演じた関俊彦さんは、昔、数々のアニメで2枚目を演じた往年の名声優さんです。
NHK-FMのオーディオドラマ(というかラジオドラマ)にも結構出演歴があり、本ブログでは「邪鬼が来る」(1997年)、「血と黄金」(1984年)、「イーシャの舟」(2001年)などを紹介しているのですがなぜか主演作はひとつもなし。
不思議なものですね。

本作品は当ブログで実施した2025年リスナーアンケートのFMシアター・作品編で第2位の得票を得ました。
リスナーの感想等は以下をご覧ください。


コメント
この作品は直前に偶然「うつくしい靴」の再放送があったため、東野さんの演技に注目して
聞きました。
「うつくしい靴」でのシリアスな演技とは全く異なるリラックスした演技が楽しかったです。
ただ、指摘のとおり確かにオタクも今は市民権を得ているため、多少時代遅れだったかもしれませんね。