カウント2.9! 作:虎本剛(FMシアター)

格付:B
  • 作品 : カウント2.9!
  • 番組 : FMシアター
  • 格付 : B
  • 分類 : 職業
  • 初出 : 2019年6月22日
  • 回数 : 全1回(50分)
  • 作  : 虎本剛
  • 音楽 : 小林洋平
  • 演出 : 小島史敬
  • 主演 : 北乃きい

今日も謝ってばかりだった。
上司は「顧客の問題を解決するのがコールセンターの仕事だ」というけれど、私にとっての仕事は謝ることでしかない。
毎日、ストレスで押しつぶされそうだ。
そんな私を見かねて、大学で同じゼミだった南陽介が声を掛けてきた。
「俺、今スポーツ新聞の記者やっててチケットが1枚余っているんだけど、明日一緒にスカッとしない?」
チケットって何?プロ野球?ちがうの?
聖地・蔵前ホールってどこ?
「プ女子」って一体?



本作品「カウント2.9!」は、関西で活動する劇団「ステージタイガー」副代表の虎本剛さんの脚本によるラジオドラマです。
肉体派劇団ステージタイガーの方らしく、虎本さんがFMシアター向けに書いた作品はスポーツが関係するものばかり。
すでにブラインドマラソンを取り上げた「ステップを聞かせて」(2018年、林遣都さん・小芝風花さん主演)を紹介済みですが、本作品はプロレス鑑賞が趣味である虎本さんにとって直球ど真ん中のプロレスを取り上げた作品です。

プロレス自体の話ではない

といっても本作品の主人公はプロレスラーの「高崎弘毅」ではなく、平凡な派遣OL「河村晴香」。
プロレスが真正面から取り上げられており、試合時間も結構長いのですが、あくまで内容はお仕事もの、あるいは若者の成長もの。
仕事にも人生にも消極的だった主人公が、プロレスから「逃げないこと」「受け止めること」を学び、仕事に生かしていく、という内容。
正直「ひたすら頑張れ」というメッセージは受け取り側次第では逆効果かなとも思います。
「頑張るな」、「そのままでいい」、「みんな世界で一つだけの花!」的なメッセージが必要なシチュエーションが多いことも事実だと思います。

面白い。でももう一息。

ただ、結局、人生どこかで頑張らないとどうにもならないことが多いのも事実。
「頑張るな」的なメッセージを前提条件なしに垂れ流すだけより本作品はよほど健全だと思います。
とはいえ、本作品のストーリー展開はいささかシンプルすぎるようにも感じました。
冒頭のあらすじで予想される範囲をほぼ逸脱せず。
個人的にはもう少し逸脱した展開があると、より面白かったように思います。

美人の無駄遣い?

さて、本作品を語る上で欠かせないのは何と言ってもキャスティング。
まず、主人公の平凡なOL・河村晴香を演じるのは女優の北乃きいさん。
あんな美人の女優さん、平凡じゃありませんって!
まあラジオドラマなので映像はないのですけどね。
番組公式HPによれば北乃さんは本作品がラジオドラマ初挑戦だそうですが、そりゃそうですよね、ある意味、美人さんの無駄遣い。
でも、こういう無駄遣い、嫌いじゃないです。

プロレスラーの無駄遣い?

また、準主役とも言えるイケメンプロレスラー・高崎弘毅選手を演じるのは本職のプロレスラーである棚橋弘至さん。
本物も本物。
新日本プロレスのエース、IWGPヘビー級王座8回の大物じゃないですか。
ちなみにリアルの棚橋選手の決めぜりふは「○○の皆さん、愛してまーす!」ですが、作中の高崎選手の決めぜりふは「必ずまたリングで会おう!」です。
そういえば、以前女子プロレスを扱った「1985年のクラッシュ・ギャルズ」でダンプ松本さんやジャガー横田さんがご本人役で出演されていましたが、そちらはあくまで脇役。
準主役での出演は異例です。

いえ無駄遣いでないのです

なお、棚橋さんはそのイケメンぶりを見込まれたか、TVドラマや映画にも多数の出演歴があります。
特に映画「パパはわるものチャンピオン」(2018年)では主演されているとのこと。
これはラジオドラマでも主演できるのでは…と思っていたら、2020年に実際に主演されました!
棚橋さんの主演作「ビギンズナイト 俺たちの2.99!」は本作品の準主役・高崎選手を主役に据えた、こちらは完全なスポーツもののラジオドラマです。


本作品は2020年のゴールデンウィークにNHK-R1で放送された「FMシアター三昧」で再放送されました。



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