- 作品 : ソラノムスメ
- 番組 : FMシアター
- 格付 : B+
- 分類 : 家族
- 初出 : 2018年8月4日
- 回数 : 全1回(50分)
- 作 : 江口美喜男
- 音楽 : 坂東邑真
- 演出 : 木村明広
- 主演 : 大八木凱斗
姉が死んでから半年。
今でも母は4人目の食事の準備をしてしまうことがある。
母はまだ姉の死を受け入れられない。
でも、姉の死に囚われたままなのは僕も同じだ。
亡くなった姉宛に届いた夏フェスのチケット。
姉は誰とフェスに行くつもりだったのだろうか。
そして、ようやく開くことの出来た姉のスマホのスケジューラーに入力された“BF”の文字。
姉はあの事故のあった日、なぜ家ともバイト先とも違う方向に向かったのだろうか。
本ラジオドラマ「ソラノムスメ」は2018年8月にNHK-FMのFMシアターで放送されたラジオドラマで、脚本家・江口美喜男さんによるオリジナル脚本作品です。
ちなみに当ブログで2018年末に実施した2018年のFMシアター・特集オーディオドラマの人気投票では第4位の票を得ました。
長女を亡くした家族の物語
内容はFMシアターお得意の「生老病死」を扱った作品。
上記の粗筋はかなりミステリーっぽく書きましたし、実際、姉のスマホのパスコード、家族や親友も知らなかった生前の姉の交友関係、そして謎の言葉“BF”など謎探しの要素もあります。
しかし、全般の雰囲気からいうとあくまで家族ものと捉えるべき作品です
具体的には、主人公の春人は父母と3人暮らしの高校生ですが、実は半年前に姉・夏美をなくしています。
その意味で作品タイトルの「ソラノムスメ」は他界した姉を指すのですが、同時に作品冒頭で流れるアンデルセンの人魚姫のおとぎ話(母が夏美に向けて読んでいるというシチュエーション)における人魚姫の末路(泡になって消えてしまう)とオーバーラップする仕掛けになっています。
あくまで穏やか
そして上記の謎を解明すると、最後にまたその人魚姫の話に戻ってくる構成になっているのですが、それが驚くべき真実に辿り着くというような結末ではなく、あくまで穏やかな余韻が残るラストになっています。
まだ年若い家族を亡くすということは、残された家族にとって想像を絶する悲劇です。
実際作中でも3人とももちろんまだ事実を整理できていませんし、それによる諍いも起こるのですが、事故直後ではないこともあり、あくまでマイルド。
坂東邑真さんの優しい音楽の効果もあり、ある程度、心静かに聞くことのできる作品に仕上がっています。
この類のきつい話が苦手な人でも、聴きやすい作品だと思います。
出演者紹介
出演者は、まず主人公の春人(はると)を演じたのは、子役から活動している俳優の大八木凱人さん(京都府出身)。
その他、春の母役の久野麻子さん、父役の橋田雄一郎さん、夏美の親友ルカ役が三田みらのさん、夏美のバイト先の中丸コウジ治役が中尾周統さん。
そして終盤までほとんど出番はありませんが、姉・夏美役が夢前ゆりさん(同じ2018年に青春アドベンチャー「時砂の王」にも出演されていました)です。
このうち久野さんが愛知県出身であるほか、皆さん関西のご出身(夢前さんは兵庫県出身)。
大阪局らしいキャスティングです。
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