草上仁のミラクルワールド (青春アドベンチャー)

格付:B
  • 作品 : 草上仁のミラクルワールド
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : B+
  • 分類 : 多ジャンル(その他)
  • 初出 : 1993年11月1・2・4・5日
  • 回数 : 全4回(各回15分)
  • 原作 : 草上仁
  • 脚色 : (下表のとおり)
  • 演出 : 芦田健、外山正恵
  • 主演 : 井上和彦

草上仁さんは、青春アドベンチャーでも有数の採用作品数の多い作家さんで、「くたばれ!ビジネスボーグ」(1993年)、「ウェディング・ウォーズ」(1995年)、「お父さんの会社」(1996年)、「愛のふりかけ」(2000年)の4作品が、それぞれ連続10回でラジオドラマ化されています。
この記事でご紹介する「草上仁のミラクルワールド」はこれらの作品と異なり、その名のとおりハヤカワ文庫から出版しているの短篇集「お喋りセッション」、「ラッキー・カード」、「ゆっくりと南へ」の中から4篇を選び、各1回15分でラジオドラマ化したショートショートラジオドラマ作品です。
ちなみに全4回と中途半端な放送回数なのは、11月3日が特番でお休みであったためのようです。


さて、この4篇は他の草上仁さん原作の5つの長編と同様に全般的にSFテイストですが、ホラー色が強い回もあります。

主演・脚本家は各話ごとに異なる

また、出演者は、橋本潤(じゅん)さん、吉田鋼太郎さん、井上和彦さん、香坂千晶さん、青山雪菜さんの5人でまわしているのですが、主役は回ごとに代わる代わる担当されており、冒頭の「主演」欄には、4話中2話で主役を演じている井上和彦さんの名前を記載しました。
ただし、井上さんは第1話に出演しておらず、作品全体を見ると橋本潤さんや吉田鋼太郎さんの印象が強かったりもします。

各話の概要

本作品の各話ごとのタイトル、ジャンル、脚色、主演、格付け、概要、及び一言は以下のとおりです。
単一の原作者で、出演者も固定メンバーですが、脚本は4話とも異なる方が担当されているのが、本作品の一つの特徴となっています。

◆第1話 「狼男」

格付 : B-
分類 : ホラー
脚色 : 香取真理
主演 : 橋本潤
新技術の植毛法でフサフサに戻った男。専用のトニックを使うように言われるのだが…


中盤以降はひたすら逃げる展開。橋本潤さんの熱演が聴き所。なぜ「狼男」かは最後に。

◆第2話 「ウォーター・レース」

格付 : A-
分類 : SF(その他)
脚色 : 山本健翔
主演 : 井上和彦
未来の世界では競馬に代わってシリウスイルカを使った「競魚」が盛んとなっていた。


イルカと騎手の最後のレースを描いた謎の感動を呼ぶ?作品。しかしイルカは魚か?

◆第3話 「殺せ!」

格付 : A
分類 : SF(日本)
脚色 : 高山なおき
主演 : 吉田鋼太郎
言葉だけでどんな相手も従わせてしまう男が死んだ。安堵する刑事達だったが…


全編に漂う暗い雰囲気。結末はSFというよりホラーかも知れない。

◆第4話 「おしゃべりセッション」

格付 : B-
分類 : SF(その他)
脚色 : 吉田玲子
主演 : 井上和彦
人間関係が希薄化し、会話が特殊な技術になった世界。ある日、夫が妻に語りかけ始める。


コミュニケーションがテーマの真面目なSFだが、井上さんの演技で底抜けに明るい作品に。

物足りない感じは残るが

1回15分の短いストーリーで、しかもわずか4回だけの作品ですので、物足りない感じは残ります。
この辺は同じショートストーリー4篇の「神南の母(ママ)の備忘録(メモワール)」に通じるものがあります。
また、平均格付けで見ると4話の平均で“B+”と何とも平凡な数値になってしまうのですが、小粒ながらぴりっとした回もあり、なかなか好印象の作品です。
個人的に一番のお勧めは、吉田鋼太郎さんの渋い声が堪能できる、第3話の「殺せ!」でしょうか。



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