格付:A

女だてら 原作:諸田玲子(青春アドベンチャー)

14歳の夏、私の人生は変わった。 「猷(みち)、お前は嫁に行きたいか。」 尊敬する父に嫁げと言われればむろん否やはない。でも… 「もし嫁ぐ代わりに、学問を究め、世間を見て歩いて、必要であれば主君のために命がけで働く。左様な道があるとしたどうする。」 あるのですか、そのような道が?! もっともっと漢詩を学びたい。父の傍で学問の手伝いをしたい。漢詩人として名を残したい。だから… あれから十有余年、今こそ、秋月黒田家存続のため、父上たちが育てようとしてきた学問の道を途絶えさせないため、亡き父に代わり私が何としても果たさないといけない、この使命を。
格付:AA

ほぞ 作:水城孝敬(FMシアター)

「ほぞ」とは、家具の板と板をつなぐときに作る突起のこと。 「ほぞ」と「ほぞ穴」を上手く作ることができれば釘を使うよりも丈夫な家具が作れる。 夫の基一(きいち)は腕のいい指物師で、職人らしく人間関係に不器用なところもあったけど、ほぞをつくる名人としてお得意さまからの信頼が厚かった。 そんな夫がある時から納期を忘れるようになった。 それだけではなくお得意さまの顔も。 指物の作り方も。 そして妻である私の顔や名前さえも。 落ち込む夫は、指物が作れなければ自分はただの用なしだ、という。 でも私は知っている。彼は少なくとも私にとって用なしではないことを。
格付:A

幻タクシー 作:山本雅嗣(FMシアター)

タクシー運転手の諸星は深夜、白衣のうえにウインドブレーカーを羽織った女性を乗せる。 ただ、この女性客はどことなく変だった。 乗ってから行き先を探し始め、しかも結局、陸上競技場ならどこでもいいという。 一体何者なのだろう…? しかし、客に言われるまま、長居陸上競技場、みさき動物公園、そしてある住宅地を巡るうちに… それはその女性と息子の物語であり、諸星と父との想い出にもつながっていくのだった。
格付:A

浮遊霊ブラジル 原作:津村記久子(青春アドベンチャー)

別に悪い人生じゃなかった。 5年前に妻が亡くなってからも、ベランダで野菜を育てたり、町内会の活動をしたりとそれなりにやってきた。 だから死ねばすんなり妻の元に行くのだと思っていた。 しかし、気がついたら浮遊霊としてこの世に残ってしまっていた。 死ぬ直前に計画していたアイルランド・アラン諸島への初めての海外旅行。 どうも自分は自分が思っていた以上にアラン諸島に行きたかったらしい。 こうなったら仕方がない。 何とかしてアラン諸島まで行ってみようじゃないか。 ところで浮遊霊は飛行機に乗れるのか?
格付:B

極楽プリズン 作:木下半太(FMシアター)

3カ月前、僕の彼女が殺された。 彼女の名は明日香。売れないイラストレーター。そして彼女を殺した犯人は…僕、ということにされた。 つまり冤罪で投獄されたのだ。 絶望と焦燥で一杯の僕だったが、しかし待っていたのは極楽のような刑務所だった。 囚人が見ているのはお笑い芸人が出るバラエティ番組、飲んでいるのはビール。 それどころかスポーツジム、プール、ヨガスタジオ。今日の夕食はアグー豚のしゃぶしゃぶ? ありえない。 しかしありえないのはそれだけではなかった。 この刑務所は脱獄すら自由なのだ。 でも一番あり得なかったのは、脱獄したら明日香が生きていたことだ!
格付:AA

拝啓 名探偵殿 パート2 原作:藤原宰太郎(ふたりの部屋)

本作品「拝啓 名探偵殿 パート2」は、1980年4月に「ふたりの部屋」で放送された作品で、推理研究家・作家の藤原宰太郎さんの「拝啓名探偵殿-掌編推理小説10分間ミステリー」をラジオドラマ化した作品です。 1979年10月に第1弾が放送されており、本作品はその第2弾にあたります。
格付:A

君を探す夏 作:桑原亮子(特集オーディオドラマ)

世間がコロナ禍に揺れる2020年の夏。 何もできなかった高校1年の一学期が終わった日の帰り際、久保麻里子は担任の先生から同級生・百瀬ゆいの教科書を持ち帰るように頼まれる。 一度口を聞いたことがあるだけで友達でも何でもないゆいに関わることに躊躇する麻里子だが、教科書を届けた際のゆいの家人の様子がどうにも気になり、家出したというゆいの行方を探しはじめることになった。 本当であれば合唱コンクールに向けて頑張っていたはずの夏休み。 こんなはずじゃなかった夏休みだが、こんなはずじゃなかったのは自分だけではないはず。 今自分にできること、したいことは、ゆいを探すことのはずだ。
格付:B

ヨコハマ・ジャスミンホテル 作:吉田小夏(青春アドベンチャー)

関東大震災から3年後の横浜。 客と揉めて洋食屋を追い出された清水桂吉(けいきち)が転がり込んだのは、本牧にあるジャスミンホテルというチャブ屋、すなわち外国人相手の娼館だった。 コックの見習いとして働く桂吉だが、トラブルに巻き込まれながらも横浜に拘る桂吉には横浜でないといけない理由があった。 それは人探し。 サファイアの指輪を持つ女とルビーのついた懐中時計を持つ男を探すために桂吉は横浜に来たのだ。 異人ではないけど青い瞳を持つふたりを。
格付:A

嘘か真か 作:井上悠介・池谷雅夫(青春アドベンチャー)

高校1年になって早3カ月。現実世界で楽しく生きることは諦めた。 だって俺たちはモブなんだから。 モブだよモブ。つまり名無しの群衆、脇役にも満たないキャラクター。 だから俺は現実の世界で頑張ることを放棄しSNSの世界をエンジョイすることに決めた。 俺の投稿した嘘に一喜一憂するフォロワーたち。 このネット時代、嘘を嘘と見抜けない方が悪い。 だいたい「大通りの某老舗タピオカ屋で、タピオカミルクティのミルクティ抜きのタピオカ増し増しラージサイズを注文すると裏メニューでモーニングスターが貰える」なんてデタラメ、信じる方がどうかしている。 こんなことが現実に起こるはずないじゃないか、嘘なんだから。
格付:C

嘘じゃないんだ 原作:ドナルド・E・ウェストレイク(青春アドベンチャー)

サラ・ジョスリンはゴシップ新聞「ウィークリーギャラクシー」の新米記者。 7月15日土曜日、初出勤の朝にハイウェイで車を走らせていると道路わきに停車している車の中で死体を見つけてしまった。 普通だと驚き動転するシチュエーションだがサラは違う。 出勤初日に幸先よく記事のネタを掴んだと前向きに捉え、一旦出社後、早速、この事件の取材を始めるが、なぜかこの事件を警察に伝えるように頼んでいた駐車場の警備員は姿を消し、この事故自体はないものとされていた。
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