悠久のアンダルス 作:並木陽(青春アドベンチャー)
8世紀にウマイヤ朝が征服してから数百年。
イベリア半島、イスラム教徒が呼ぶところのアル・アンダルスは、ウマイヤ朝が滅亡して小国に分裂してもなおイスラム教の勢力圏にあった。
そうした小国のひとつムルシア国の王アル・ディーブは、聡明な姉ラシーダの補佐のもと、強力な国家による平和の実現のため、日々戦いのさなかにあった。
国政面ではアンダルス東海岸の統一が視野に入り、家庭的にも妹ミスリーンや身内と言ってよい亡命王女カトルンナダーとの心安まる生活を得、順風満帆に見えたアル・ディーブとラシーダ。
しかし、隣国バルセロナに傭兵隊長として"隻腕のダリオ"が雇われたのを境にふたりの運命は予想もしない方向に転がり始める。