暁のハルモニア 作:並木陽(青春アドベンチャー)
17世紀、ドイツは戦乱の渦中にあった。
三十年戦争。
カトリックとプロテスタントの間で争われた最後にして最大の宗教戦争により、国土は荒廃、住民たちは塗炭の苦しみを味わっていた。
後世から見れば「暗黒の中世」は終わりを告げつつある時代。
しかし、イタリアでガリレオ・ガリレイが「それでも地球は動く」と呟かざるを得なかった時代でもある。
いわんやドイツにはまだ近代文明の曙光もさしていない…ように見える。
しかし、そんな時代でも新しい学問を求め歩みを止めない青年がいた。
彼の名はヨアヒム・ハインツェル。
若き天文学者であるヨアヒムは戦乱で大学を焼け出され、行くところがない。
しかし、これ幸いと、予てから憧れていた大天文学者ヨハネス・ケプラーに会いに行くことに決めた。
神のあり方を巡って混乱する地上。
しかし、真理の光があれば世に調和をもたらすことだってできるはずなのだ。