オウジとKの物語 原作:北村想(ふたりの部屋)

格付:B
  • 作品 : オウジとKの物語
  • 番組 : ふたりの部屋
  • 格付 : B
  • 分類 : 幻想(日本/シリアス)
  • 初出 : 1984年2月6日~2月17日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 原作 : 北村想
  • 脚色 : 田槇道子
  • 音楽 : 今井次郎
  • 演出 : (不明)
  • 主演 : 朝比奈尚行

パキスタンにある古代都市モヘンジョダロの遺跡で空飛ぶ少年を目撃した脚本家”K”が死んだ。
そしてKの葬式の日、日本の小都市N市にある火葬場の煙突から空に飛び立つ少年が目撃される。
遠く離れた全く異なる2つの場所に出現した少年=オウジ。
Kの劇団、「ハーレーズコメット」に所属する俳優のネキ・シンスケは独自に調査を開始し、Kの死の背後に「文明を生み出したところの、文明を破滅に導く、文明の具現化した何か」の存在に気が付く。
それこそが「量体D」なのだった。


本作品「オウジとKの物語」は、岸田國士戯曲賞を受賞している脚本家、北本想さんの初めての小説「オウジ」を原作とするラジオドラマです。

北村想原作・田槇道子脚色

ちなみに北村さんが岸田國士戯曲賞を受賞したのは本作品が放送された1984年ですので、本作品は北村さんが劇作家として売り出し中の時期の作品ということになりますが、本作品における北村さんの立場はあくまで原作者。
脚色は田槇道子という別の方がされていますし、作中に唐突にメタ的に登場する「原作者」も、作者の分身といってよい「K」も別の俳優の方が普通に演じていらっしゃいます。
ちなみに1992年に青春アドベンチャーにてラジオドラマ化された「北村想の怪人二十面相・伝」も脚色は別の方(高橋卓子さん)でしたが、北村想さんご自身が作品を解説するコーナーが冒頭にあったり、割と主要な役で出演されていたり、関与はやや強めです。

意味わかりますか?

さて、本作品でまず気になるのは毎回、執拗に流される作品の「テーマ曲」。

王子泣きながら
カマボコほおばって
お話に火をつけた
小説が燃える
物語が燃える
虚構が燃える
燃えて灰になる
王子またひとつ
オモチャ燃やして
灰にした

意味わかりますか?わかりませんよねえ。
そもそもこの記事の冒頭に書いた粗筋、わかりますか?わかりませんよねえ。
火星の衛星ダイモスや小惑星ケレスなんかが出てきてSF的な要素もありますが、基本的にはいろいろ考えすぎちゃった脚本家さんによるよくわからないお話です。

寓意に富んでいる?

サン・テクジュペリの「星の王子さま」リスペクトの要素があることからも、本作品が寓意に富んだ作品だということは明らかなのですが、登場人物が「テキヤあがりの役者」とか「ストリーパー」とかなのでウジウジとした話にならざるを得ません。
だいたい作品の冒頭から、出演者やスタッフが「この作品どんなふうにする?」などと相談を始めるメタ展開なので、ひかえ目に言っても聴く人を選ぶ作品ですであることは確かです。
私? 私は理性も感性も、多分、悟性も不十分な人間なので、とっても付いていけませんでした。

終盤はなかなか

これは困ったなあ、久しぶりに遠慮なく格付け”C”を付けられるな(あくまで個人的な格付けです。実はCを付ける作品にはある意味リスペクトしていたりする)と思いながら聴き続けましたが、終盤の推理部分で印象が変わりました。
ポンプの推理はかなり楽しめましたし、そこから一気に上記の歌詞の意味を解き明かしていく流れもなかなかです。
もっとも「推理」とか「解き明かす」とかいっても、あくまでファンタジー世界での話であり、いわゆる推理ものではありません。
この辺は「悲しみの時計少女」を聞いたときに近い感覚で、好きな人は好きなのだろうなあと思う出来でした。
私? 私はストレートなエンタメしか楽しめない即物的な人間でして。
申し訳ない。

出演者について

さて、本作の出演者はまず主役級の「ふたり」が俳優・脚本家の朝比奈尚行(現芸名:あさひ7オユキ)さんと、アングラ女優?の「ひろ新子」さん。
本作品の放送された番組は「ふたりの部屋」ですが、出演者は二人だけではなく、山本広重さん、瀬川哲也さん、宇佐美とよみさんなども出演されています。

パートごとの小題

最後に本作品のパートごとの小題を記載しておきます。
第二部その4は10秒程度ですぐ終わります。

プロローグ
モヘンジョダロ
日本国N市第一部
その1 煙突の少年
その2 エントツとトポロジー
その3 ポケットに入る天体
その4 超経験的戦闘への招待第二部
その1 アステロイドの飛行
その2 地球の惨劇
その3 ピラニアの襲撃
その4 地球のパルス
その5 火の神、水の神
その6 宇宙の眠り ←あっという間に終わる
その7 探偵人間ポンプ

第三部
その1 小説オウジとKの物語
その2 角ある神のエントロピー
その3 F-1
その4 オウジまた地球に行く

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