白狐魔記 天草の霧 原作:斉藤洋(青春アドベンチャー)
奥州の深山、白駒山(しらこまさん)には仙人が住むという。
その仙人に弟子入りすれば、多少はまともな法力を得て、藩主・板倉重正さまのお力にもなれるかもしれない。
そうして白駒山に旅立った、彼、三河深溝藩の密偵「南蛮堂煙之丞」は、思惑どおり不思議な力を使う男に出会った。
しかし彼は「自分は仙人ではない」という。
さらに世の中の雑事にかかわる気もないそぶりもしているのだが…
いやどうみても、世の中の動きに興味津々だ。
性格もお人好しであるのが透けて見えている。
そして、ある男が彼のことを「白狐大仙」(びゃっこたいせん)と呼んでいるのを聞いた。能力も凄そうだ。
漏れ聴くところによれば正体は狐だそうだが。そんなことは関係ない。
こうなったら押しかけてでも弟子にしてもらうしかない。
そう、九州は島原で大きな一揆が起きようとしている。
板倉さまがその討伐に派遣されそうなのだ。
一刻も早く板倉さまのお役に立てる力を得なくては。