笑う20世紀パート3 作:藤井青銅(青春アドベンチャー)

格付:C
  • 作品 : 笑う20世紀 パート3
  • 番組 : 青春アドベンチャー
  • 格付 : C+
  • 分類 : コメディ
  • 初出 : 1996年10月21日~11月1日
  • 回数 : 全10回(各回15分)
  • 作  : 藤井青銅
  • 演出 : 松本順
  • 主演 : 信太昌之(その他下表のとおり)

全部で6作品制作された藤井青銅さん脚本の短編オリジナルラジオドラマシリーズ「笑う」シリーズの第3弾が、この「笑う20世紀 パート3」です。
この「笑う」シリーズとその後継作品であった「踊る」シリーズは、いわゆる「干支シリーズ」と並んで、青春アドベンチャーにおける藤井青銅さんの代表的な作品です。
時事ネタを扱っていたことから全く再放送されなかった「干支シリーズ」と違って、「笑う」シリーズは頻繁に再放送されました。

雰囲気は一変、出演者も一新

さて、本作品も前作前々作と同様に、少しシニカルなコメディ作品になっていますが、毎回、嘲笑に近いシニカルな笑い声で終わっていた前作までと異なり、明るいテーマ曲で締める構成になっており、全体的に陽気で明るい雰囲気の作品になっています。
これは演出が前作までの川口泰典さんから、松本順(すなお)さんに変わったことが大きく影響しているのだと思います。
そして演出の交代は出演者にも影響を及ぼしています。
前作までは、前田悠衣さんや、山西惇さん、海津義孝さんといった、いかにも川口さん演出作品らしい方々でしたが、この「パート3」の出演者は、中村元則さん、伊沢勉さん、信太昌之さん、横田砂選さん、島津冴子さん、小椋あずきさん、島田沙羅さん、峯尾進さんの8人であり、前作までの出演者は一掃されています。

各回の紹介

それでは、各回の内容をご紹介いたしましょう。
いつもどおり、各話の主演俳優、格付け、粗筋、一言を表にしてあります。

◆第1話 「抗菌の乱」

主演 : 伊沢勉
格付 : C+
粗筋 : 抗菌グッズで部下の好評を得た部長。更なる若手のやる気醸成のために取った策とは。
一言 : 徐々にエスカレートする藤井さんお得意のパターン。タイトルは黄巾の乱のパロディ。

◆第2話 「観光ごっこ」

主演 : 信太昌之
格付 : B
粗筋 : 南国・ハニャモネラ共和国へ新婚旅行にやって来た二人がトラブルに巻き込まれるが。
一言 : あまり笑えないが、ひょっとしたら何らかの真実を鋭く指摘しているのかも?知れない。

◆第3話 「OEM」

主演 : 信太昌之
格付 : B-
粗筋 : ライバル会社のクラクションを製造することになった。釈然としない社員は…
一言 : わかっていても過剰だと笑ってしまう。ところで確かにOEMは何となく釈然としない。

◆第4話 「格安物件」

主演 : 信太昌之
格付 : B-
粗筋 : 格安のマンションを手に入れた男。しかし夜になると何かが聞こえてきた…
一言 : 「住専」などの言葉に時代を感じる。ただし社会批判色はない単純なコメディ。

◆第5話 「マルチメディア万歳」

主演 : 伊沢勉
格付 : B-
粗筋 : パソコンにもFAXにもついて行けない。そんな中年サラリーマンが立ち上がった?
一言 : 会員が増えた時点でオチが読めるなあ。

◆第6話 「激安の秘密」

主演 : 中村元則
格付 : B
粗筋 : なぜか終わらない携帯電話の安売り。その背後には、ある国家的な陰謀があるのだった。
一言 : 本作から20年経つのにまだ安売り競争は続いている。1人1台には収まらなかったが。

◆第7話 「カメレオン男」

主演 : 信太昌之
格付 : C+
粗筋 : その男の特徴はこれといった特徴がないこと。しかしそれは特別な能力でもあったのだ。
一言 : 面白い設定だけどオチがイマイチ。

◆第8話 「天秤の男」

主演 : 伊沢勉
格付 : B-
粗筋 : 幸不幸が交互に起こる男。大きな商談を前に、確実に不幸になっておきたいところだが。
一言 : 予想どおりのオチだが意外と楽しめた。信仰はなくてもジンクスは気にしちゃうよね。

◆第9話 「最終面接」

主演 : 伊沢勉
格付 : B-
粗筋 : 科学的に善人・悪人を判断できる機械を作った会社。早速、新人採用に活用したのだが…
一言 : 予想どおりの展開で、びっくりするようなオチもなくおわってしまった。

◆第10話 「記念日ころがし」

主演 : 中村元則
格付 : C
粗筋 : そうだ!耳かき専門メーカーのわが社も記念日を造って売り上げアップを図ろう!
一言 : これもあまりオチが印象に残らない。アンダルシアの下りは面白かったが。

女性メインの作品が少ない

「笑う20世紀」第1弾では女性が主演する作品もあったのですが、第2弾はすべて男性が主演。
この第3弾も女性が主役並みに活躍するのは、第9話「最終面接」の島津冴子さん(「絶句」、「家族ホテル」、「カムイの剣」など)くらいです。
脚本家の藤井青銅さんが男性なので当たり前といえば当たり前ですが、「不思議屋」シリーズ「ライフ」シリーズのように女性を含めた多数の脚本家が競作するアンソロジー作品との違いが、こういうところにも表れていると思います。

【藤井青銅原作・脚本・脚色の他の作品】
青春アドベンチャーの長い歴史において、最も多くの脚本と最も多くの笑いを提供しているのが脚本家・藤井青銅さんです。こちらに藤井青銅さん関連作の一覧を作成していますので、是非、ご覧ください。

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