- 作品 : 月につれてって
- 番組 : FMシアター
- 格付 : B-
- 分類 : 家族
- 初出 : 2025年9月13日
- 回数 : 全1回(50分)
- 作 : 丸山智
- 音楽 : 川田瑠夏
- 演出 : 藤井靖
- 主演 : 朝夏まなと
施設に入居した父に代わって父が経営していたジャズクラブの整理をすることになった美音。
時間の都合がつかず先延ばしにしていたが、父にせっつかれてようやくピアノ買い取り業者・藤堂に査定をお願いする。
しかし藤堂から、ピアノの状態はとても良いものの、底面に日付のような数字が刻印されているとの指摘を受ける。
このままでも買取はできるが、思い入れの強い楽器の場合、直前で売主がキャンセルすることもあるので、と再度売却意思を確認される美音。
やむを得ず父に数字のことを確認する美音だが、父は全く覚えていないという…
なぜか「月」
本作品「月につれてって」はNHK-FMのFMシアターで放送されたラジオドラマで、主演は元宝塚歌劇団宙組トップスターの朝夏まなとさん、2025年9月13日に放送されました。
ちなみに、同じFMシアターで3週間ほど前の8月13日に「田毎の月が沈む」が、もうひとつのオーディオドラマ番組、青春アドベンチャーでは9月22日から「月のスケッチブック」が放送されており、なぜか「月」関係が続いた時期でした。
元男役だけど大丈夫?
さて、本作品は朝夏まなとさんという元宝塚トップスターを招いたにしては、現代日本を舞台にして普通の女性を描いた作品。
朝夏さんといえば青春アドベンチャーでは「暁のハルモニア」、「悠久のアンダルス」、「軽業師タチアナと大帝の娘」という西洋歴史もので堂々たる女傑ぶりを演じていた印象が強く、そもそも男役出身ですし「普通の女性役、どうなんだろう」と思ったのですが、これが結構自然でイイ感じなんですよね。
きっちりと女優さん
彼女が演じる美音は夫と離婚して娘をひとりで育てており、一応、元ジャスシンガーというはったりの効く経歴はあるものの、現在は友人のセレクトショップを手伝って生計を立てているシングルマザーにすぎません。
ギタリストの元夫と、ジャズクラブ経営の父という、甲斐性のない音楽バカに囲まれていろいろご苦労をしている様子で、タチアナとは全く違うキャラなのですが、こういう役もきちんとできるあたり、宝塚退団後もきっちり役者として活動できるところのある女優さんなのだと思いました。
歌が…ある!
とはいえ、本作が彼女の宝塚出身という経歴が全く生かされていない作品という訳ではありません。
最終版にはなるのですがNHKのオーディオドラマでは珍しく、フライ・ミー・トゥー・ザ・ムーン( Fly Me to the Moon)のきちんとした歌唱シーンがあり、これで作品を締めくくる構成になっています。
やはり歌のうまい方には詠ってほしいですよね。あくまで作品の流れの中でではありますが。
音楽バカ
ところでストーリーですが…
まあ、ひとりの女性が、ピアノの売却という一大事を通して、家族との関係、音楽との関係や自分の人生を見つめなおす…というよくある話です。
気持ちよくハッピーエンドで終わってはいるのですが、正直、音楽バカふたりのセリフにはあまり好感が持てませんでした。
特に最後の「これからはなんでも言葉にするよ」には正直、ぞっとしました。
これ以上、まだわがままを通すつもりなのかい。
個人の感想です
音楽って人生を豊かにする側面は確かにあると思うのですが、それに人生をつぎ込んでよいのは本当に才能があるというか、むしろどんなにとめても音楽以外の道を選べない人だけだと思うのです。
まあ本人がよければそれでよいことであり、余計なお世話なのかもしれません。
あくまで個人的な意見とご理解いただきたいのですが、ヤマハとかカワイとかが楽器を売るためにつくっている「お教室」が結果的には多くの人を勘違いさせているのではないかという気がしてなりません。
すみません、ご不快になられたらごめんなさい。
色々と思うところはあるのですが、ここまでにします…
末次美沙緒さん最後の出演作
さて最後に1点だけ。
本作品は2025年8月20日に死去された女優、末次美沙緒さんの最後の出演作品になりました。

末次さんといえば青春アドベンチャー「帝冠の恋」、「獅子の城塞」などでの格調高いナレーションがとても印象深いです。
ご冥福をお祈りいたします。

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