- 作品 : 夜のストーリーボックス
- 番組 : 青春アドベンチャー
- 格付 : B
- 分類 : 多ジャンル(競作)
- 初出 : 2019年2月25日~2月28日・3月3日
- 回数 : 全5回(各回15分)
- 作 : 下表のとおり
- 演出 : 真銅健嗣
- 主演 : 大塚千弘、加藤虎ノ介
本作品「夜のストーリーボックス」はNHK-FMのラジオドラマ番組「青春アドベンチャー」で放送された脚本家競作によるオムニバスラジオドラマ作品です。
近年減少傾向の短編オムニバス
「青春アドベンチャー」という番組は、毎週月曜日から金曜日の夜9時15分から30分までの15分間に放送されている帯ドラマの番組で、通常、2週間(10回)を1クールとして続き物の作品を放送しています。
ただ、時々、1回15分で完結する短編作品集を放送することもあり、本作品はそのひとつです。
この放送形態の作品、2000年代には「ライフシリーズ」など3シリーズが並立していたこともあり、毎年、複数作品がつくられていたのですが、近年は減少。
本作品「夜のストーリーボックス」は、2016年10月の「あなたに似た自画像」以来、久しぶりの新作となります。
テーマは夜、主人公は社会人
さて、このようなオムニバス作品の場合、あるキーワードを決めて統一感をだすのが通例です。
本作品では「夜」がこれにあたりますが、「ライフシリーズ」や「10人作家シリーズ(名古屋脚本家競作シリーズ)」のような「テーマ縛り」ではなく、「舞台縛り」(夜を舞台にした作品群)ともいうべき作品です。
昔懐かしの「不思議屋シリーズ」を思い出しますね。
内容面での特徴としては、全ての作品の主人公が社会人であることが挙げられるでしょうか。
第1話・第2話はずばりお仕事を中心にした話ですし、その他の回も主人公たちが働いていることが物語上、重要なファクターになっています。
やはり「夜」はストレスフルな日中を過ごす社会人にとってこそ、特別な意味があるのかも知れません。
各回の概要
本作品の各話のタイトル、脚本家、内容及び一言等は以下のとおりです。
◆第1話 「真夜中のシャンプー」 (葉月けめこ)
◆第2話 「夜ふかしのマッスル」 (出川真弘)
格付 : B-
仕事もプライベートも頑張れば成果が出るはず。今度の企画は絶対通してみせる。
関根の行動を美談にするのはいかがなものか。主人公の結論もしっくりこないし。
◆第3話 「世界の終わりのカレーライス」 (石原理恵子)
格付 : A+
あと10時間で隕石が地球にぶつかる…かも知れない。誰と一緒に過ごす?
SF風味の設定。ぼんやりした話だが主人公を演じた大塚さんの雰囲気が良い。
◆第4話 「真夜中の訪問者」 (門前日和)
格付 : B
競売対象となったのは元カノの父親の家。居ても立ってもいられなくなった男は?
これもはっきりしない話。法的整理に入っているのに夜逃げというのがよくわからない。
◆第5話 「夜のステイション」 (藤沢秋)
格付 : B
家に帰りたくない男の隠れ家は「鉄道模型バー」。今日も自慢のNゲージを。
今回も日常系の作品かと思ったら、終盤、急にファンタジー要素が出てきて驚いた。
特筆すべきは放送形態
内容は以上のとおりなのですが、本作品の一番の特徴は放送形態にあります。
冒頭に書いたとおり、青春アドベンチャーは通常、月曜日から金曜日に毎日放送される番組なのですが、本作品は5日目の金曜日に第5話が放送されず。
それはこの日「今日は一日“ありがとうFM50”三昧 ~クラシック編~」が放送されたからなのですが、何と最後の第5話は日曜日に放送された「今日は一日“ありがとうFM50”三昧 ~オーディオドラマ編~」の中の1コーナーとして放送されました。
しかも、「今日は一日”ありがとうFM50オーディオドラマ編”」のMCである松田洋治さんと長谷川真弓さんが、この第5話だけ参加するという凝り方。
なかなか粋な企画です。
出演者紹介
その他の出演者については、主演格といえるのは大塚千弘さんと加藤虎ノ介さん。
大塚千弘さんは2012年の「海に降る」で青春アドベンチャー初主演。
「きりしたん算用記」(2017年)、「カーミラ」(2018年)でも主演しており、もうラジオドラマも手慣れたものです。
一方の加藤虎ノ介さんも「シュレミールと小さな潜水艦」(2013年)や「know~知っている」(2015年)に主演済み。
おふたりのこなれた演技でストレスなく聴ける作品集になっています。
◆ストーリーボックスシリーズの作品一覧
全5話で構成されるミニ・オムニバス作品の「ストーリーボックス・シリーズ」。
不思議屋シリーズ、ライフシリーズ、10人作家シリーズの系譜を受け継ぐ脚本家競作オムニバスの最新シリーズの一覧はこちらです。
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