- 作品 : 幕末の絵師 田崎早雲
- 番組 : FMシアター
- 格付 : B-
- 分類 : 歴史時代(日本)
- 初出 : 2019年12月21日
- 回数 : 全1回(50分)
- 作 : 小林克彰
- 演出 : 曽我崇史
- 主演 : 小市慢太郎
天保年間、江戸は今戸の裏長屋。
乱暴者「あばれ梅渓」と呼ばれた絵師・田崎早雲(たざき・そううん)は今日も妻から絵のダメ出しを受けていた。
妻の菊(きく)は絵の善し悪しに妥協を許さない。
それは早雲の才能を信じ、彼を大成させたいがためであることを知っているからこそ、北辰一刀流の達人である巨漢も妻には頭が上がらなかった。
しかし、ある日、絵の修行に出た早雲は浦賀で黒船を見てしまった。
早雲は迷う。今やるべき事は絵を描くことなのか、それとも…
時代に荒波にもまれた絵師夫婦の人生を描く。
本作品「幕末の絵師 田崎早雲」は多くのラジオドラマの脚本を書かれている小林克彰さんによるオリジナル脚本のラジオドラマでNHK-FMのFMシアターで放送されました。
時代劇専門ラジオ作家
小林さんは一貫してラジオドラマ向けに時代劇を書かれている方で「蘭学遺言状」・「天保北越雪譜異聞」(ともにFMシアター)、「エド魔女奇譚」(青春アドベンチャー)などが田崎さんの作品です。
本作品はNHK宇都宮局の制作ですので、地元局の要請を受け足利藩に縁のある田崎早雲を題材に制作したものではないか思います。
田崎早雲って?
さてみなさん、田崎早雲ってご存じでしたか?
私は全く知りませんでした。
絵師にして勤王志士ってなかなか興味深い属性です。
しかも調べると、絵師として、かの谷文晁に師事したかと思えば、1854年に米兵と日本史上初の異種格闘技戦(ボクシングvs柔術?)を行って富田常雄の「姿三四郎」のモデルになっているらしい。
足利藩で非武士階級による軍隊「誠心隊」を組織したりもしていてなかなか話題豊富です。
多士済々
司馬遼太郎の短編「喧嘩草雲」のモデルになったりはしているものの、イマイチ知名度が高くないのは何でだろう?と思ったのですが、まあ河井継之助のように戊辰戦争で派手に活躍でもしない限りそんなに有名にはならないですよね。
思えば歴史が変わっていく時代にはどこから湧き出たのかと思うほど人材が出てくるのは世の常。
幕末にはこういった人たちがあちこちにいたのかもしれません。
終点が定まらず
というわけで本作品は勤王志士として早雲が縦横に活躍する話ではなく、特に時代に迷う早雲とその妻・菊との話が中心。
とはいえ基本的に糸の切れた凧みたいに出歩いてばかりの早雲ですので夫婦ものとしてもあまり濃厚なやりとりが聞けなかったのはちょっと残念なところ。
どうせ幕末なので人生は激動にならざるを得ないので、いっそ勤王志士の活動は弱めにして「ほぞ」みたいに夫婦の情愛をしっかり作り込んでくれたほうがよかったかなとは思いました。
せっかく菊役に雛形あきこさんを起用している割には印象が弱く不憫です。
不憫と言えば報われない菊も不憫ですね…
小市慢太郎さんといえば!
さて主役の田崎早雲を演じたのは小市慢太郎さん。
時代劇+小市さんといえばやはり青春アドベンチャー「蜩ノ記」ですが、「当面の間、変身します」第4話「雲雀(ひばり)の心」も時代劇でした。
偶然でしょうか。
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